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日下部の部屋。無機質な空間。静かだが、それぞれの存在感だけは濃い。
蓮司(床に寝転がって)「なあ、ここの天井模様、気持ち悪くね?」
遥(無言でタブレットを操作)
日下部(本を読みながら)「見すぎなんだよ、お前が」
蓮司「いやこれ、顔に見えるやついるだろ。ここ、目」
遥「飽きたなら帰れ」
蓮司(くすっと笑って)「冷たいな〜。寂しいじゃん、遥」
日下部「お前それ言ってる時、ちっとも寂しそうじゃないのがすごいよな」
蓮司「天性の適当人間ですから」
(沈黙。数秒だけ無音)
日下部(ページをめくる音)
蓮司(天井見ながら)「沙耶香ってさ、怒ると何する?」
遥(即答)「無視」
日下部(本を閉じて)「理由聞かずに?」
遥「理由がないことを“前提”にしてくる」
蓮司「あ〜。それ、わかるわ」
遥(にらむように)「……お前に、何がわかる」
(少し、間)
蓮司(体を起こしながら)「知らねぇよ。けど、なんとなく言いたくなっただけ」
日下部(静かに)「そういうの、“癖”だぞ、蓮司」
蓮司「知ってるよ。やめる気はない」
遥(ため息混じりに)「……マジで、うるさいだけの癖に、時々まともなのムカつく」
日下部「それが一番厄介なんだよな」
蓮司「ありがとう、評価されてる気がする」
(全員、言葉を切って、各々の静寂に戻る)
夕方前。BGMすらない。
遥はソファの端に座って、本を読んでる。
蓮司は床に寝転んで、スマホの音ゲーを無音でやってる。
日下部はカップ麺にお湯を入れて、タイマーを見ている。
しゃべらない。
しゃべる必要がない。
蓮司がふと、スマホを放り出す。
蓮司「なあ」
二人とも返事はしないけど、耳は向いてる。
蓮司「一番“死にたくなった場所”って、どこ?」
静寂。
日下部(タイマーを止めながら)「風呂の床」
遥「駅のホーム」
蓮司(うなずきながら)「あ〜……そういうとこ、リアルだなお前ら」
また静かになる。
日下部(湯切りながら)「それ聞いて、何がしたいんだよ」
蓮司(目を閉じて)「別に。ただ、言わせたくなっただけ」
遥は本のページをめくる。
日下部はカップ麺をすする。
蓮司は目を閉じたまま、次に何か思いつくのを待ってる。
誰も、何も咎めない。