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そうですね🥰 度重なる 二人の偶然の再会.... 🌊✨ 私も運命だと信じております🍀
詩帆ちゃんが涼平さんの姿が見えなくて寂しいのや会えて嬉しくなるは恋心って気づいてる⁉️ 離婚で傷ついた心も新たな恋愛で修復できるよ❤️ それに加納さんも2人を応援してくれそうでとても素敵な方💓とたくさん知り合えて幸せだね😊🌷
翌週の火曜日、詩帆はいつものように早朝の浜辺にいた。
昨日一昨日は雨が降っていたので朝のルーティーンはお休みした。
二日来なかっただけですごく久しぶりのような気がする。
今のところ雨の日以外は一日も欠かさずこのルーティーンを続けているので、詩帆は満足していた。
淡々と行動する事で、少しだけ自信が持てるようになった。
今日の海は割と波が高いので、既に四人のサーファー達が海に入っていた。
しかしその中に涼平の姿はなかった。
(今日は来ないのかな?)
そう思いながらスケッチを終え、色をつけ始めていると後ろから声がした。
「おはよう。ここ最近天気が悪かったから久しぶりだね」
詩帆が振り返ると涼平がいた。
今日は黒のウェットスーツを着て白いサーフボードを抱えている。
「おはようございます。今日は波がありますね」
詩帆が笑顔で答えると、さらに後ろから声がした。
「おはよう涼平! 今日はいい波だな」
涼平と詩帆が後ろを振り返ると、そこには加納がいた。
加納は涼平の傍にいる詩帆を見て、一瞬「おっ!」という顔をしたが、すぐに聞いた。
「お友達かな?」
「はい。こちらは江藤詩帆さん。彼女も金曜日のパーティーに参加しますから」
涼平に紹介された詩帆は慌てて立ち上がると、
「初めまして、江藤です」
と加納に自己紹介をしてお辞儀をする。
すると涼平が詩帆に言った。
「こちらは俺の大学の先輩で今の職場の社長の加納さんだよ。今度のパーティーにも来るからね」
「どうも初めまして加納です。いやー、涼平、いつの間にこんなに可愛らしいお嬢さんと友達になったんだ?」
加納はニコニコしながら言う。
そして今度は詩帆に向かって言った。
「今度のパーティーで、またお会いできるのを楽しみにしていますよ。参加するメンバーは皆いい奴ばかりなので安心して来て
下さいね」
「はい、ありがとうございます」
詩帆が笑顔で返事をすると、加納は頷きながら詩帆が手にしていたスケッチブックに気付く。
そしてその絵を見て感嘆の声を上げた。
涼平は、詩帆が美大卒で毎朝ここで絵を描いているのだと説明すると加納はなるほどと納得する。
そしてしばらく三人で談笑した後、加納が言った。
「じゃあ先に海に入っているからな!」
加納は笑顔で詩帆に会釈をすると、海へ入って行った。
「じゃあ俺も行って来るかな」
涼平は手を挙げて詩帆に挨拶をすると、すぐに加納の後を追って行った。
その時詩帆は思った。
涼平と知り合って以降、辻堂に住む知り合いがどんどん増えていく。
そしてその誰もが優しくて素敵な人ばかりだった。
海沿いに住む人は皆大らかで心優しい。
そう思いながら、詩帆は思わず笑顔になる。
それから再びシートに腰を下ろすと、絵の続きを描き始めた。
描きながら時折海にいる二人の様子をちらりと盗み見る。
涼平も加納もサーフィンの腕前は上級クラスのようだ。
先に海に入っていた若者達との実力は雲泥の差で、二人とも見事に波を乗りこなしかなりの見せ場を作っている。
あまりにも見事なので、詩帆は思わず筆を置いて見入ってしまうほどだ。
涼平をぼーっと見つめている自分に気付いた詩帆は、慌ててスケッチブックへ視線を戻す。
(今日はなんだか集中力に欠けるわね…)
詩帆はそう思いながら、なんとか絵を描き終えた。
画材を片付け自転車の方へ向かいながら、海の方を振り返ってみた。
すると涼平と加納はまだ波と戯れていた。
その時涼平が自転車へ向かう詩帆に気づいた。
涼平は海の中から手を振ってくれたので、詩帆も手を振り返してその場を後にした。
その後波乗りを終えた涼平と加納は、ボードを手にして砂浜を歩いていた。
いい波が押し寄せていたのでまだまだ続けていたいところだったが、仕事に間に合わなくなるので諦めた。
並んで歩きながら、加納が言った。
「いい子じゃないか。どこで知り合ったんだ?」
「彼女、うちの近くのカフェで働いているんです。カフェで玲子にビンタされた時に保冷剤をくれたんですよ」
それを聞いた加納はいきなり大声で笑い始めた。
「おいおい涼平ちゃん、修羅場を見られちゃったのか? ビンタされたって…そりゃすごいな」
そう言いながら加納は腹を抱えて笑っている。
「先輩笑い過ぎですよ」
涼平はムッとしながら加納に言うと、さらに続けた。
「彼女とはその後偶然海で再会して。こういうのを運命って言うんですかね」
目尻の涙を拭いながら漸く笑いが収まった加納は、今度は真面目な顔をして言った。
「偶然を運命と捉えるかどうかは本人次第ってところかな。でも俺はロマンティストだからさぁ、度重なる偶然は運命だって思
うようにしているぞ」
そして続ける。
「出逢いっていうのは奇跡なんだぞ。この広い地球上で大勢の人間の中からたった一人の人と出逢うってすごくないか? だか
らその貴重な出逢いを大事にしろよ」
加納はそう言うと、涼平の肩をポンと叩いてから歩いて行った。