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所長に呼び出されたムーンは所長室へと入ろうとしている。


「ムーンです。入ってもよろしいですか?」

「どうぞ。」



所長室はかなり広い研究室のような造りだ。ありとあらゆるところに薬品や標本、研究資料がある。

所長室には所長、そしてレイがベッドの上で寝ていた。


レイを見つめるムーンを見て、所長がこう言う。

「君ならわかるだろう。レイの素晴らしさが。」

「はい。透析機能で見ていましたが、とても複雑な構造だと感じました。」

「レイの小さな体には、素晴らしい可能性が秘められている。これからの人類の進歩に多大な影響を与えるほどのな。」


「どのようにして彼を作り出したのですか?」

「それは企業秘密さ。私の君に対する信頼度が高まれば教えてやるさ。それに、これから君には定期的にレイの体を診てもらおうと思っている。そのうち君自身でわかるんじゃないかな。」


ムーンは「分かりました。」と返し、こう続ける。

「それと所長、一つお聞きしたいことがあるのですが。」

「なんだね?」

「先程当機が診た、No.3156とレイの体の内部構造が似ている気がするのです。」


「ほう、流石だな。これまで彼らを診てきた医者達では気づかなかったことだ。で、聞きたいこととは?」


「No.3156は、レイの成長と研究のために作られた実験体なのではないでしょうか。」

 


所長はカップに入ったコーヒーを一口飲み、こう答える。

「ほぼ、その通りだ。元を言えばNo.3156がレイのような存在になるはずだったのだよ。しかし、彼の見た目を見てわかる通り、不完全なものが出来上がってしまった。処分するのももったいないからな。No.3156には、レイのための実験台になってもらうことにした。」


ムーンは所長の話を聞き、こう返す。

「当機は今、No.3156のことを可哀想に思っています。この感情は、医学の発展に必要なのでしょうか?」


「普通ならば可哀想だと思うだろう。しかし、君の使命からしてみれば、その感情は不必要だ。なぜなら、医学や科学には”犠牲”がつきものだからだ。用済みになり捨てられる実験体たちにいちいち感情移入しているようでは、君の心はきっと持たなくなる。」


「分かりました。」というムーンの返答を聞き、所長はこう続ける。


「君の教育係はどうだい?君の感情の育成に活かせそうか?」

「はい。彼女はとても感情が豊かなので。当機が学ぶことは多いです。」

所長は「それは良かった。」と返し、ムーンを教育係のいる部屋へと帰らせた。


1人となった所長はこう呟く。



「変な感情を学ばせないようにしなければ。教育係を変えるべきか。」


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