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~数日後~
庭園にて、絵本を何冊か持ったサイコロが芝生で寝転んでいる。そこへ1人の少年が近づいてきて、こう話しかける。
「やぁ、サイコロくん!今日は何して遊ぶ?」
「レイくん… いつも驚かさないでよねぇ。」
レイはみるみる成長している様子だ。前の様な幼稚な印象は、今のレイからは感じられない。
サイコロはこう続ける。
「昨日はロビンくんと3人で鬼ごっこして体を動かしたから、今日はゆっくりしながら絵本を読んであげるよ!」
「絵本かぁ。どんな話なの?」
「それは読んでのお楽しみだよ。というか、ロビンくんに貸してもらったばかりだから、僕も分からない!」
〜〜〜
彼らは絵本を互いに読み合いっこし、楽しい時間を過ごしていた。
3冊目を読み終わった時、レイはサイコロにこう言った。
「レイも絵本の主人公達みたいに、外に出て旅をしてみたいな!外は危ないからでちゃダメってお父さんが言うけど… サイコロくんは、外に出たことあるの?」
「僕もまだ外に出たことないんだよね… きっとこの研究所なんかより美しくて、楽しいことが溢れているんだろうね!」
こう返したサイコロであったが、外の有様はロビンから聞いている。
どこをみても荒廃した、ボロボロで危険な世界。ちゃんと機能してる施設なんて、ここからどれだけ移動したらあるのか分からないほど。無邪気なレイの発言に対し、サイコロは本当のことが言えなかったのだ。
しかしサイコロ自身も外に出てみたいとは思っていた。
確かに外は危険かもしれないが、それでもこの窮屈な研究所で一生を終えるよりは、外で自由な生活を送ってみたい。様々な人と触れ合ってみたいと感じていたのだ。
サイコロはレイにこう言った。
「いつか、レイくんがもっと成長して、外に出ても大丈夫だってお父さんが思ってくれたら、僕と一緒に旅に出ない?きっと絵本の登場人物のような凄い体験ができるよ!」
「うん!僕もサイコロくんと一緒に外に出てみたい!もう少し時間がかかるかもだけど、約束だよ!」
明るい未来に向けて、2人は約束を交わした。
しかし、この後2人に起こる様々な出来事によって、彼らの未来に暗雲がかかってしまうことを、2人は知る由もなかったのである。