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愛の充電器がほしい

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愛の充電器がほしい

56 - 第56話 職場の先輩に救われる

2025年02月24日

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朝、ハッと目が覚める。目覚まし時計よりも早かった。

ふとんからさっと、体を起こした。家族の中で、誰よりも早かった。

早々にいつものスーツに着替えて、台所に向かう。


いつまでも子どもじゃないからたまには両親や琉久に朝ごはんを作ってあげてもバチは当たらないなと

紬は冷蔵庫からハムとたまごキャベツを取り出した。

InstagramやYouTube、料理アプリを駆使して何を作るか考えた。

巣篭もりキャベツを作ることにした。

目玉焼きより料理した感がある。


鼻歌を歌いながら、キャベツを千切りにした。

それを影から見ていたのは琉久だった。


(姉ちゃん?! なんで、早く起きてんだ? なんだ、これは夢か。夢なのか?)


琉久は何度も目をこすり本当にそこに紬がいるか確かめた。まるで妖怪を見るようだった。


「琉久、そこで何してるんだ? 朝の準備終わったのか?」


颯太が後ろから声をかけた。その声にびっくりして飛び上がった。さらに後ろから美羽が言う。


「琉久、今日、三者面談あったよね。お母さん行くから、進路のことちゃんと考えておきなさいよ?」


「あー、はいはいはい。分かってますよーだ。てか、それよりさ、姉ちゃんが朝ごはん作ってんだけど」


「本当だ。珍しいな。良いことでもあったのかな」


「紬が作る朝ごはん、楽しみね」


紬は鼻歌を歌ってフライパンをジュージュー音を立てて調理した。会社に行く楽しみができたのだ。

デスクに座って、パソコンをカタカタ言いながら横目でチラリと確認する。

メンターの田村が横から覗いて明らかに好意を寄せているんだろうなと分かるくらいだ。


「く、す、の、き、さん」


田村は紬の両肩にポンと軽く手を乗せる。


「え? あ、田村さん。ごめんなさい、提出するデータはまだ仕上がってなくて……。ここを追加すればどうにか終わるかと」


マウスをカチカチと押して慌てた様子で画面を見せる。


「そうじゃなくて!楠さん。今日、一緒にランチしに行かない?」


紬は母が作ってくれたお弁当を思い出したが、付き合いも大事だろうと考えた。


「え、ランチ? 良いですね! どこに行きます?」


「そうだなあ。この辺だと、パスタが美味しいところがあって……」


「パスタ? どんなパスタがあるんですか?」


「うーん、定番のナポリタンとか、カルボナーラ、トマトソース、クリームソース系のパスタだよ。結構種類も豊富だから

満足するかも。行く?」


「はい。行きましょう」


紬は初めて同僚の田村に誘われた。入社してから3ヶ月が経っていた。


パスタのレストランに着くと


「楠さん、部長のこと好きなんでしょう?」


飲んでいた水を吹いてしまう。


「え、え、え。私、顔に出てました?」


テーブルの脇にあるナプキンで吹いた水を拭き取った。


「だってさー、仕事中、パソコン越しにずっと目をハートにして部長のこと見てるでしょう。すごい分かりやすいから」


「いや、その、あの〜入社した時から色々と助けてくれたので頼り甲斐がある上司かなと思ってて……。好きかどうかは自分でもよく分からないですよ。田村さんって彼氏いるんですか?」


「急に私に振ってくる? って言う私も彼氏なんてできたことないけどね。2次元の世界の彼氏なら妄想でいるけど……」


「え?そうなんですか。私も好きです。アニメとかゲーム。そう言うのばっかりだから友達には彼氏できないんだよって

よく言われます」

「なんか仲間な気がして来た。そういうのは。楠さん、話戻すけど部長はかなり年上じゃない? と言うか、お父さんお母さんくらいの年齢だと思うけど、そこは気にしないの?」


「そのくらい離れてるんですね。でもまあ、年齢っていうよりその時の気持ちって言うか……。え、田村さん、部長って既婚者ですか?」


パスタの注文もせずに話に夢中になる2人。


「……たぶん、独身だったと思うなあ。アメリカの支社とか国内の支社に行ったり来たりするから結婚する暇ないとかないとかぼやいてた気がするけど。というか、楠さん。お昼時間無くなっちゃうよ。早く、パスタ注文しよう」


「あ、そうですね。注文しましょう!」


2人はテーブルの脇にあるタブレットをタップして好きなパスタを注文した。

今は電子化が進んで商品の注文もだいぶ楽になった。


「楠さんのこと、応援するよ。頑張ってね。仕事以外のことでも相談乗るから! なんて言ったって楠さんのメンターだし。任せなさい!」


「ありがとうございます。田村さんがいて本当助かります。これからもよろしくお願いします」


2人は終始笑い合いながらランチタイムを楽しんだ。





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