テラーノベル
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「ちょっと、まった!!珠子、お前なぁ、自分の立場わかってんのか?!この屋敷は金原の手に渡ってるんだぜ?お前は、文句言える立場じゃねぇんだよ!!」
ポタポタ水滴をたらしながら、龍が、珠子を叱りつける。
「いれるだけでも、感謝しなっ!!櫻子ちゃんのお陰だって、まだ、わからねぇのかよっ!!」
「何よ!なんなの!!なんで、お姉様のお陰なのよっ!!そ、それに、あなたになんか、珠子呼ばわりされる筋合いはないわっ!!」
珠子も負けてはいなかった。
「ったく!うるせぇ女だなぁ!!鼻っぱしらの強い女ってのは、俺は嫌いじゃない。だけどよー、折角、見映えいいのに、だまってりゃー、お前、相当いい女だぜ?自分で、格をおとしてどうするよっ!!」
「はあ?いい女?!」
そこまで、言って、珠子は、静かになった。が、うつむき加減で「いい女……」と、独り反復している。
そして──。
さっと、踵をかえすと、廊下を駈けていった。
「あのなぁ、廊下を走るな!!」
龍は、変わらず苛立っている。
「あれまっ、知らず知らずのうちに、火をつけちまったかい?」
お浜が、ニンマリしつつ、龍を見る。
「……あの、龍さん、珠子さんは、まだ、色々混乱しているので……」
櫻子が、龍の機嫌を取ろうと、そっと声をかけた。
「なっ、何言ってんだよ!櫻子ちゃん!!珠子を庇うつもりかよ!!!なんか、人間出来すぎてないか?!っつーか、器、でかすぎだろっ!!」
「まあまあ、龍。それが、櫻子ちゃんの良いところじゃないかい。そんだけ耐えて来たってことさ」
お浜は、相変わらず、ニヤケ顔で、ずぶ濡れの龍に、着替えるように言う。
「明日、珠子の機嫌を取っておやりよ。言い過ぎたとでも言っときゃいいよ」
「へ?!なんで、俺が?」
「じゃあ、櫻子ちゃんに、珠子の機嫌を取らさせるつもりかい?」
「お浜よ!そりゃーいけねぇ。こじれるどころかだぜ!そうだな、俺の出番だ!!……なのか?お浜??」
いいからいいからと、お浜は、とにかく着替えろと、龍を引っ張って奥へ連れて行こうとする。
龍も、流石に、体が冷えてきたのか、だなぁ、着替えだよな、などと、呑気にお浜に連れられて行った。
「……旦那様。珠子さんのことですが……」
櫻子は、恐る恐る、金原へ問う。
「ああ、お浜と龍に、任せるのが一番のようだ。何か考えがあるんだろ」
これまた、ニヤケながら、金原は、櫻子へ返事をした。
「じゃあ、珠子さんは、ここに……」
「まあ、珠子の家でもある。それに、柳原の店に戻れば、何かと居心地が悪いだろう。そうなると、店の者に当たり散らすだろうし……金原商店の損失になりかねない」
「……そう……なのですか……」
どこか、納得できていない櫻子へ、
「とにかく遅い。世話をかけたな。俺は、もう大丈夫だから、お前も早く休め」
金原は、労いの言葉をかけた。
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