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俺が好ましい笑顔でそう主張すれば、誰もが俺の要望を受け入れる。それはフェリクス王太子も同じである。ジョー・アルヴィアンがどういう人間かは俺が一番よくわかっている。良くも悪くも彼らは俺に注目するし、好ましい笑顔を俺が浮かべれば彼らは俺を受け入れざるを得ない。俺はそういう人間なのさ。
「理解した、ジョー。今後ともよろしくな。」
「こちらこそよろしくお願いいたします、フェリクス王太子。」
俺は王太子という言葉を少し強く発音する。その肩書に価値を俺が見出しているように、彼は認識するだろう。それはフェリクス王太子に俺の思惑を探らせることを回避する、少なくとも遅らせることには遥かに効果を上げるだろう。もっとも彼のような高潔すぎる人間はアルヴィアンと致命的なほどに折り合いをつけられない。つまり、フェリクス国王陛下が生まれることは今後存在しないということだ。もしも俺がこの世を去り、アルヴィアンが崩壊しない限りは。そして彼にとって残念なことに、そのようなことはある理由で起こり得ないとだけは言っておこう。
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