脚の間をなぞるその硬い獰猛な彼のケモノ。ぬちぬちっという水音が耳までおかしてくる。「やだぁっ……言えない」
「言わないとしないよ? あぁでもこんだけぐしょぐしょだと|挿入《はい》っちゃいそう」
くぼみが蜜口に、引っかかってはすぎて行く。早く、早くきて欲しい。ねだるような私の視線は、きっとはしたなく見えただろう。
「き、来て」
そろそろとケモノにふれた。すごく硬くて、おっきぃ……。それを蜜口へと誘ってぴたっと当てた。
「ここに……」
「ここにどうするの?」
「挿れて……欲しっ……あっ、あああーっ!!!」
ぐさっと刺さるほど奥まで挿入されて身体がのけぞる。
「ナカ、いっ、ぱいになっちゃう……」
「いちいち言葉エロいよね」
「……えっ!?」
ばちゅっと腰を打ち付けられるともう止められない。貪るようにお互いを求め合う。
「ああっ、あっんんっ!!」
「花音、かわいい」
「んんっ、んっ……あぅっ」
「ここ、すっごくキツぃ」
永井くんの苦悶の表情がすごくセクシーに見えた。気持ち良くなってくれているんだなと思っていると、ずんずんと目の前が揺れて快感が大きくなる。
「やっ、だめぇっ……い、っちゃう」
「俺も……出そう」
「あっ、んんぅっ、あああっ!!」
奥の奥、薄膜越しに欲を吐いた彼がどさっと覆いかぶさる。
やばい、気持ちいぃ……。
ずるっと引き抜かれたケモノ。賢者タイムなんてないに等しい。新しい薄膜の袋を彼が口でビッと破るのを見て、蜜口が疼いた。 体位をかえて、どろどろべたべたになるまで何度も抱き合った。
とめどなく押し寄せる快感の波が、辛かったことや、悲しいことを、沖へ沖へと攫っていく。
果てても果てても、彼は腰を打ちつけるのをやめない。あられもない嬌声をあげて意識を手放したのはいつだったのだろう。
ふと目を覚ますと、ベッドにひとり横たわっていた。リビングへ続くドアが少し開いていて、灯りが漏れている。なんか、いい匂い……。
ベッドサイドに置いてあったバッグの中からルームウェアを出して着替える。
スマホを確認すれば日が変わっていて、2時をすぎたところ。まだ朝になっていないことが意外なようにも思う。
ドアを開け、キッチンに立つ永井くんにとことこと近寄る。
「あ、大丈夫ですか」
「うん……」
「すみません、止まんなくて」
そう言われて顔からぼんっと火が出そうになる。止まらなかったのは私も同じだ。私を気遣って休憩しようとする彼にキスをして、もっともっととねだったのは覚えている。
「……チゲ鍋どうします?」
「食べたい」
「わかりました」
永井くんはカセットコンロを出して、ローテーブルに置き、具の入った鍋を温め始めた。
「辛いの大丈夫ですか?」
「うん!! 大好き!」
ニコニコとそう告げる。食器や飲み物を用意して2人でローテーブルの前に並んで座った。 永井くんが鍋の蓋を取ると、もわっと湯気が立ち上がる。キムチの香りが辺りを包み、ぐつぐつと赤いスープの中で、野菜や豆腐が煮えていた。
「うわー!!! 美味しそう」
「はい、どうぞ」
永井くんがよそってくれたお椀が2人の前に並ぶ。いただきますをして口に運び、熱っといいながらふーふーして食べ始めた。
「なにこれ、美味しい!!」
「よかった。ビールおかわりありますよ」
缶ビールもローテーブルに何本か置いてくれた。いたれりつくせりで、なんだか恐縮。
「永井くん、あの、今週、ありがとうね。いろいろ」
「いろいろ?」
「ほら、資料探してくれたじゃん?」
あぁ、と永井くんは頷く。
「また資料室行く時は声かけてくださいね」
「なっ!! もう、何考えてんの!?」
「そういうことを考えてます」
「ちょっとー!!!」
クールな永井くんの思考がなかなかのケモノで息をつく。若いってことなのかな。でも、別の意味でも本当に助かった。|伊吹と燎子《あの2人》のことを考えている暇がなかったから。
「この前の会議ですけど」
「うん」
「復讐のしがいがありますね。あれはひどい」
「あはは……そう、だね」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!