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それから二日後の夕方、良輔は会社から遠く離れたカフェで絵里奈と向かい合っていた。


「この写真はどう見てもお前が撮った写真だろう? ミラーに写っているんだ。言い逃れは出来ないぞ」

「そうよ! 撮ったのは私よ! でもあなたの家のポストになんて入れていないわ」


先ほどから何度この押し問答を繰り返しただろう。

良輔はほとほと疲れ果てて大きくため息をついた。


「こんな事をされたら、お前との付き合いは考え直すしかないな」

「何? それってどういう意味? 私と別れるって言うの? そんなの嫌よ!」

「いや、元々はお前から誘って来たんだからな。それに二人の事は誰にも言わないって約束だったんだ。その約束を破れば、も

う付き合い続けるのは無理だ!」

「嫌よっ! 別れないわ! もし別れるって言うなら全部会社に話すわよ! あなたが誘惑してきたって! きっと皆私の事を

信じるはずよ」

「なっ……お前は何を言ってるんだ? そんな事をしたら、俺もお前もマジで会社にいられなくなるぞ!」

「フフッ、私は派遣だから構わないわ。また違う派遣会社に登録すればいいだけだもの。でもあなたは困るわよねぇ。昇進もダ

メになるし、会社にもいられなくなっちゃうかも」


絵里奈はそう言って楽しそうにフフッと笑う。


(なんだこの女は…俺はこんなろくでもない女と付き合っていたのか…ちくしょう…一体どうすりゃいいんだ)


そこで絵里奈が勝ち誇ったように言った。


「あなたが奥さんと別れて私と結婚してくれればいいのよ。私はいい妻になる自信はあるわ! あなたの夜のお相手もちゃんと

するし、あなたの子供だってちゃんと産んであげる! 絶対私に乗り換えた方がいいと思うけど?」


(ハッ? 何を言ってるんだ、このバカ女! 自分が凪子の代わりを務められるとでも思っているのか? とんだ勘違い女だ)


良輔は胸の内で悪態をつく。


「とにかく……俺はもうお前とは会わない。分かったか?」


その言葉に絵里奈が焦り出す。

なぜなら、今の絵里奈には良輔とのセックスがない生活なんて考えられないからだ。


「ちょっ……ちょっと待ってよ…分かったわ! まだ会社には言わないでおいてあげる。だから今まで通り私と会ってよ!

じゃないと本当に会社にばらすわよ!」


良輔は絵里奈の脅しを無視して席を立つと出口へ向かった。

そんな良輔の背中に向かって絵里奈が言う。


「絶対また連絡してよ! じゃないと全部喋っちゃうから!」


絵里奈の叫ぶような声を無視して、良輔は不機嫌なまま店を出た。


(あいつ、なんだかんだ言って俺の身体から離れられなくなっているんだな。って事は、そう簡単には会社にばらさないだろ

う…とりあえずしばらくは様子を見るか)


良輔はそう思いニヤッと笑った。



その週の土曜日、凪子は朝からいそいそと出掛ける準備をしていた。

あまりにも楽しそうな凪子を見て良輔はホッとする。


(俺の浮気には全く気付いていない様子だな…)


そんな妻に気を良くした良輔は、優しい声で凪子に聞いた。


「今日は紀子さんとお芝居だって?」

「そうよ。紘一さんが知り合いからお芝居のチケットをもらったんだって。紘一さんは仕事で行けないからって紀子が誘ってく

れたの」

「そっか」

「ねぇ、帰りも紀子とお夕飯を食べて来てもいい?」

「もちろん! 紀子さんとは久しぶりだろう? ゆっくりして来いよ」


良輔は理解ある夫を演じ、模範的な返答をした。

そんな良輔を見て凪子は思う。


(フフッ、ばっかみたい! 今さら良い夫を演じたって無駄なのに)


今日は紀子とお芝居を観に行く事になっているが、実は違う。

凪子は信也に付き添ってもらい新居を探しに行くのだ。


ラブホテルでの夫の写真を見て以来、凪子は一日も早くこの家を出たいと思うようになっていた。

そんな所へ、資料室での密会の件が追い打ちをかけた。

紘一へボイスレコーダーを渡す前に、凪子は念の為その録音内容を聞いてみた。

しかし聞いた瞬間、聞かなければよかったと後悔する。

そして一刻も早くこのマンションを出たいと思うようになっていた。

夫と愛人の淫らな声を聞いてから、さらにその思いが加速している。


とにかくこんなばからしい結婚生活は早く終わりにしたい。

凪子は一刻も早く私生活にけじめをつけ、仕事へ集中したかった。


引っ越し先が見つかり次第、すぐに引っ越すつもりでいた。

良輔に何も言わずに家を出て、離婚手続きを紘一に一任するつもりでいた。


早く楽になりたい。


その為には、なんとしてでも今日中に新居を探す必要があった。

【ショートドラマ原作】マウントリベンジ

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