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あれ……ここは、外? さっきまでいたみんなはどこ? 急に目の前の風景が変わったことに戸惑っていると、不意に声をかけられた。
「おい嬢ちゃん、俺たちゃ腹が減ってるんだ。何か恵んでくれや」
振り返るとそこには数人の男がいた。周りをよく見ると、ここはどうやら河の近くの橋の下らしい。彼らはどうやらここで生活しているようで、向こうにはビニールシートや段ボールで作られた「家」がいくつも見えた。
「ごめんなさい、何も持ってないんです」
そう答えても、男たちはニヤついた笑みを浮かべたまま近づいてくるだけだった。
「そんなことないだろ? いい服きているじゃないか。それとも、それを俺らにくれるってか?」
「それは……嫌です!」
あたしは身を翻して逃げようとしたが、後ろから腕を掴まれてしまう。そのまま引っ張られてしまい、地面に押し倒されてしまった。
「きゃあっ!?」
「へへ、大人しくしな。悪いようにはしねえよ。俺らは金目のものさえありゃいいんだから」
「い、痛いっ!離してくださいっ!」
必死に抵抗するが、力では敵わない。抵抗むなしく、服を全て脱がされ全裸にされてしまう。
「ほう、こんなものでも古着屋なら高く売れそうだぜ」
「下着はまた別のところで売れるしな」
「じゃあ俺は靴でも貰おうかな」
そう言ってあたしの足を掴んだ。
「ひぃっ!?」
「おっ、この革靴なかなか高そうじゃん」
そうやって革靴を剥ぎ取られてしまった。本当に真っ裸にされてしまった……。ただ、幸い、男たちはそれ以上何もしてこなかった。今のうちに逃げよう、とも思ったが、こんな姿のままあたりをうろつくのは恥ずかしくて無理だった。
「さて、と。これだけあればしばらくは食っていけるな」
「ああ、今日は久しぶりにうまいもんが食べられそうだ」
そういうと、男たちはどこかへと行ってしまった。一人取り残された私だが、しばらくして、一人の青年がやってきた。彼の身なりはきれいで、さっきまでの人たちとはまた別な雰囲気があった。あたしは少しためらったが、彼に話しかけることにした。彼はあたしを見ると、驚きながらも「大丈夫かい?」と言ってくれた。あたしは泣きながら事情を説明した。
「……なるほどね。ひどい話だ。よしわかった。僕を手伝ってくれたら、君を助けてあげよう」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。その代わり、僕の言うことをよく聞くんだよ」
「はい、わかりました!」
「まずはこれを配ってもらおうかな」
そう言って渡されたのは、大きな鍋に入ったシチューのようなものをそそいだ器だった。
「これをみんなに配ればいいんですね?」
「うん、よろしくね」
「ところで、その……、あたし、服を盗られてしまって……、このままだと恥かしいんですけど……」
「そう? まぁ風邪引かないでね」
「えっ?」
「どうかした?」
「いえ、なんでも……」
このかっこうでやれってこと? この人も、なんかおかしい……。あたしは不安になりながらも言われたとおりにするしかなかった。(続く)