テラーノベル
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心臓がある者は、皆同じ空間を生きている。
動物だって、虫だって、もちろん、人間も。
今を必死に生きているんだ。
でも恐ろしいものが1つだけある。
それは ——
「明日は何が起きるかわからない」こと。
明日の出来事は、今日はわからない。
永遠に明日の出来事は、生きている限り誰にもわからないんだ。
「ただいま」
「おかえり!!」
こんな些細な言葉すら、明日には言えなくなってるかもしれないんだ。
だから ————
ガチャっ
玄関でドアが開く音が聞こえる。
私は猛ダッシュする勢いで玄関に飛びついた。
「ただいま」
そこにはやっぱり、彼がいた。
ニコッと微笑むスーツ姿の彼が。
「おかえり!!!」
私は勢い良く彼を抱きしめた。
彼の心臓に耳をくっつけると、未だに慣れていない鼓動は早く動き、
私を笑顔にさせるんだ。
暖かい温もりも彼の速い鼓動も、全部が生きている証拠。
この瞬間が、私は1番大好きなんだ。
でも、やっぱりこれがいつまで続くかわからない。
たまに考えたりする。
彼が明日死んでいたら、、なんて____
その夜は、彼はいつもよりも私を笑顔にさせてくれた。
「愛してる」って唐突に言ってくれたり、
一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入ったり。
それから、一夜を過ごしたり。
「明日は休日だから、遊園地に行こう」って言ってくれたり。
仕事で疲れてるはずなのに、優しかった。
私を不安になんて一切させて、、くれなかった、。
その時までは ——
次の日の朝。
私は、いつもの時間より少しだけ早く起床した。
隣には、” ぐっすりと眠っている “ 彼の姿。
その頬に、私はキスを落とす。
それまでは、いつもと一緒。
だけど、今だと、気づいていたのかな。
彼の頬が、ひんやりとしていた事に____
それから私は、朝ご飯を作りに台所に立った。
「今日は彼の好きな物にしよっかな」なんて考え、
幸せが溢れる中、朝ご飯作りに取り掛かった。
朝ご飯は、彼が起きる前に出来てしまった。
いつもは、作ってる後ろから抱きしめてくれるのに。
「遅いな・・・」
20分程机で待っていても、彼は起きてこなかった。
疲れが溜まってるのかな?なんて考えるけど、
昨日はあんなに笑顔だった。
いつもと、変わらない?なんて考えるけど、
いつも起きる時間より2時間も遅い。
「もうちょっと待ってみるか・・・」
この時、動いていれば良かったのだろうか____
あれから1時間が経過した。
もう朝ご飯は冷たくなり、愛情がどんどん冷えていく。
段々と不安が押し寄せてきていた。
「まさか・・・」と思っていた。
でも、信じられなくて。
私は、その場から動くことが出来なかった。
そして、約2時間後。
そろそろやばいと思い始めていた。
もう、私の全身は震え切っていたから。
「生きていますように」
私は神様に誓いながら、その部屋のドアを開けた。
案の定、彼はまだ ” ぐっすり眠っていた “。
重そうな瞼を閉じて、” ぐっすり “ と。
震える手で、さっき口付けた彼の頬を触る。
彼の頬は冷たくて、昨日抱きしめたあの暖かさは無かった。
次は、彼の心臓に耳を当てる。
昨日のあの早い鼓動なんて、無くなっていた。
もう救急車なんて呼ぶ気力も無い。
ただ、起きない彼を見つめる。
「ねぇ、私もそっちに行っていい?」
涙ぐんだまま、言葉は溢れていた。
あれから何年か経ったんだろう。
私は今も “ 暗闇の中 “ で、
コメント
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なんか知らん人でも死んだら悲しいよな~
こーわ。ハートの数えーっぐ。