[secret story:7]
「…またか。」
目が醒めると、薄暗い光が目を刺激し
た。此処は見覚えがある。
「初めてだな、同じ世界線に来るなんて。」
僕は静かに呟く。
「死因は…出血死、だったか。」
「…ん、えーっと、どちら様?」
心臓がどきりと鳴った。
しかし、彼を見ると、声は聞こえてなかったみたいだ。
心の中でほっと息をついて、
「僕は______。」
今はまだ、仮面を被ったまま。
彼が死ぬ日が、着々と近づいてきた。
そう、あれは、少し肌寒い日。
建物が崩れ、首から下が潰れた。
あれは肝が冷えた。
あんなグロい死に方はあの時が初めてだったかもしれない。
「こっちらへんきたことないよな〜」
「そうだな。」
2回も同じ世界線に来るなんて初めてだ。
日にちや、出来事が大きく変わる可能性だってある。
「…い….?….き….か…….おー………おーい!聞いてる?」
「あ、ごめん」
「別にいいけど大丈夫かよ?」
「うん」
「あ!なんか建物いっぱいある!」
「そんなはしゃぐな、危ないから。」
「はーい…」
「…ここなら入れるんじゃない?なんか行けそうな雰囲気!」
「いや、ヒビ入ってるからやめておこ。」
途端、頭上から嫌な音がした。
建物が崩れたようだ、今逃げても避けれる気はしない。
このままじゃ2人とも死ぬ、本能がそう感じた。
「おい、どうs」
「またね」
思いっきり走った、地面を踏みしめて。
なんだか、生きてる心地がして、少し涙が出そうになった。
すぐに引っ込めて、彼の背中を力一杯押した。
転ぶくらいは許せよ?
「なんで、」
暗転、
いくつもの思い出に、その心を支えられて。
第6章:晦冥
許されない、闇に沈む
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