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私はとうとうスウォードの街に着いてしまったっす。
この感想はこれまでの道を走ってきた超常の何かとの別れの哀愁と、知らなければたどり着くことのないこの街に着いてしまったという感動の両方から来ているっす。
門の外で立って暇そうにしている衛士さんは外から来る私を不思議そうに見てくるっす。
「私は東の街道の先からきた、エイミアという旅の者っす。街に入らせてもらっていいっすかね?」
衛士さんはすこし驚いてはいたけど、別に入るのに許可がいるわけでもないとのことで、すんなりと入れたっす。
それは私のいた国ではあり得ないことで、国に入るのも街の出入りにも身分証は必要っす。ここまで国境もなく、国を出た後はなんの障害もなくたどり着いてここでも勝手に入って良いと。平和というのはこういうことなのかも知れないっすねぇ。
いや、その必要がそもそもないからこその平和なのかも知れないすけど。
街は綺麗に区画整理されていて、どこも石畳が敷かれていてゴミひとつない。道も広く人々も活気が溢れている。
凄いなと、ここが閉ざされた街とはとても思えないっす。
のんびりと歩きながらそんな事を思う。
あっち行きこっち行きしながら観光する。そういえば宿も取っておかないとっすねーっなんて思っていると話しかけられた。
「こんにちわっ。旅人さんですか? 珍しいですねっ!」
ピンク色の毛並みと大きな耳の可愛いキツネ獣人っす。
「そうっす、私はエイミアっすよー。あなたが案内してくださる方っすか?」
ガイドなんて雇ってもないけど──この子も超常の何か。とは言えさっきの馬とかとは違って、目の前のこの自分よりも小さいオーバーオールの可愛いキツネ獣人は生きているっす。
「うーん、そう言うわけでもないんだけどねっ。見つけたから声かけた、みたいなっ?」
元気のいいこの子はやはり知っているっす。
「この街で私の案内はあったりするっすかね?」
知っている者にしか分からないであろう問いかけ。
「それは無いかなっ。別にエイミアちゃんがこの街で何をしててもいいからねっ。むしろ何かをしたくて来たのかなっ?」
見た目の歳は5歳児ほどなのに、よく理解してよく掴んでいるっす。
「私は魔術士になりたくてここに来たっすよ。とりあえずはその足掛かりがないか探すっす」
目的は素直に言っている方が話は早いっすねきっと。
「ミーナ。こちらの子は知り合いかい?」
そこに現れたのは、腰に剣を差した1人の青年。名前はビリーっていうらしいっす。ミーナちゃんが教えてくれたっす。
というかこの青年は割と普通に見えたけど、驚いたっす。ミーナちゃんとリンクしていて、常に繋がっているのがわかるっす。ミーナちゃんの保護者って言ってたけど、リンクはミーナちゃんからのもの──どういう事っすか?