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ジリリリー……とスマホのアラームが鳴る。
カーテンを開けると、日差しが眩しかった。
そのとき、1階からお母さんの声が響く。
「朝ごはん冷めちゃうわよ〜!」
私はゆっくりと階段をおりて、朝ごはんを食べる。
部屋に戻り、制服に着替えて、学校へ向かった。
学校には、正直行きたくない。
でも、親に迷惑はかけたくない。
それだけで、私は今日も家を出る。
学校に着いた。
いつも通り、自分の席に座る。
ホームルームが始まった。
先生がプリントを配っている。
……やっぱり、私のところには来ない。
ホームルームが終わり、私は先生のところへ向かった。
「あ、あの……! 先生……す、すみません」
先生は困ったような顔をして、ため息をつく。
「なんだ? もっとハキハキ喋ってくれないか? 忙しいんだ」
その言葉に、私は固まる。
何も言えない。
先生はそのまま、どこかへ行ってしまった。
笑い声が、静かに響く。
……慣れてる。
だから、大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、席に戻った。
授業が始まる。
当然、プリントは回ってこない。
教科書を見るしかない。
「プリントに書いてある内容、テストに出るからな〜」
先生はそう言いながら、プリントを見ている。
私は教科書に目を落とし、
テストに出そうなところに印をつけた。
……これしか、できないから。
昼休み。
私はいつも通り、トイレでご飯を食べる。
ここは静かで、人もあまり来ない。
一人になれる場所。
……そのはずだった。
「え〜? まじ担任終わってるくね?」
笑い声が響く。
どうやら、先生の愚痴を言っているらしい。
複数人いる。
……早く出ていってほしい。
そう思っているうちに、チャイムが鳴った。
私は慌ててお弁当を隠し、
他の女子生徒の後ろを、恐る恐る通る。
下を向いたまま、走るように教室へ向かった。
教室のドアを開ける。
誰も何も言わない。
ただ、先生だけがこちらを見て言った。
「大久保、遅刻な」
それだけだった。
下校時間。
私は、逃げるように学校を飛び出した。
その帰り道。
見たことのない、綺麗な花が咲いている道を見つけた。
……今日は、違う道で帰ろう。
そう思い、その道を進む。
風がやさしくて、暖かい。
その先に、小さな神社があった。
ボロボロで、人の気配はない。
まるで忘れられた場所みたいだった。
それなのに――妙に静かだった。
鳥のさえずりすら、聞こえない。
少しだけ迷ってから、私は鳥居をくぐる。
その瞬間。
空気が、変わった気がした。
足音だけが、やけに響く。
中も荒れていて、何もない。
……なんだろう。
少し、不気味だ。
そう思ったとき、風が強く吹いた。
木々が、不自然に揺れる。
私は思わず足早に、その場を離れた。
家に帰り、お弁当を洗い、
晩ごはんを食べて、
部屋に戻る。
いつも通り、ゲームをして、
そのまま眠りについた。
翌朝。
また、アラームが鳴る。
……今日は、学校に行きたくない。
それでも、起きる。
親に迷惑をかけたくないから。
重い体を起こし、アラームを止めようとした――そのとき。
手が、止まった。
……大きい。
ゴツい。
自分の手じゃないみたいだった。
違和感を覚えたまま、リビングに入る。
その瞬間、お母さんが叫んだ。
「誰よ?! あなた!?」
その声に、お父さんも顔を上げる。
新聞が、床に落ちた。
「お前……誰だ?!」
お父さんは立ち上がり、私を睨む。
「泥棒か!? 警察呼ぶぞ!!」
私は戸惑いながら、苦笑いする。
「ちょ、ちょっと朝から――」
声が、低い。
まるで大人の男みたいな声だった。
……え?
戸惑っている間にも、お父さんはスマホを取り出す。
本気だ。
このままじゃ、警察を呼ばれる。
慌てて近づくと――
「来るんじゃない!!」
叫ぶような声。
お父さんは逃げるように洗面所へ向かった。
私はその後を追う。
どうして逃げるの?
ただのドッキリじゃないの?
そう思いながら扉を開けると、
お父さんは掃除用ブラシを構えていた。
「こっち来るな!!」
……何をしてるの?
そう思いながら、一歩踏み出す。
そのとき。
鏡に、私が映った。
……違う。
私じゃない。
「……だ、誰……これ」
そこにいたのは、女子高生じゃなかった。
――知らない男だった。