第4話 私じゃないの?
好きだった。
同じ塾の藤崎 栲(ふじさき たく)。
勉強を真面目にして、誰にでも優しかった。
だから、栲の小学校の卒業式の日、恋歌は塾で栲に告白した。
「優しくて暖かい栲くんが好きです。付き合ってください」
でも、栲の答えはこうだった。
「ごめん。俺、好きな子いるんだ。告白したんだけど….でも、振られちゃって。だけど俺、諦めてない。だから、桃井さんとは、付き合えない。ごめん」
恋歌が最初に思ったことは、「なんで、」だった。
なんで?
振られたんでしょ?私は栲くんが好きなのに。栲くんのこと好きじゃないその子を選ぶの?
恋歌の恋は、顔も知らない女の子に、奪われてしまった。
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恋歌は、櫻葉中学校に入学した。
新しいクラスには、栲もいた。もちろん嬉しかっけど、少し気まずかった。
そんな感じで始まった中学生活。
3ヶ月ほど経った頃、栲と同じ小学校で、この中学で仲良くなった子が言った。
「そういえばさー。恋歌が好きだった栲くん、あいつが好きだった子、あの前の席の千季さんだよ」
そういって指を指した先に座っていたのは、あまり関わりがない、千季 梨柚(ちとせ りゆ)
だった。
あいつが。 あの女が。 私の想いを、邪魔した。許さない。許せない。
その日から恋歌は、クラスのみんなをまとめ、少しずつ、梨柚を孤立させていった。
精神を追い込み、消えてもらうために。
そうして栲を、自分のものにするために。
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