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ありんす
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ねこなさま🐈⬛💘
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す㍄
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屋敷の広いリビングには、一同が勢揃いしていた。
ママ上に手厚く看護され、ようやく復活した俺は、目の前で正座するソニアとその妹ロゼリアを見やる。
「大変、申し訳ない」
ソニアが深々と頭を下げると、ロゼリアをはじめ、この件に関わった侍従たちも一斉に頭を下げた。
「いや……まぁ、俺も出すもん出しちゃったし、あんまり強くは言えないんだけどな」
そもそも事の発端は、ビーチにいた俺が、悪ガキどもにパンツをずり下げられたことにある。その結果、ロゼリアに露出狂と誤解され、派手にボコられてしまったわけだ。
「いや、圧倒的にこちらに非がある。しかも、金で解決できるような問題ではないだろう」
謝罪金なんかいらんしな。
それよりも気になるのは、ソニアの隣で正座している妹ちゃんの様子だ。ロゼリアは気の毒なほど顔色が青白くなっており、今にも倒れそうなほど震えていた。
確かに俺もビーチで露出狂ボコボコにして、尻にビーチフラッグを突き刺した後、実はその人大国の王女でしたって聞いたら吐くほど緊張すると思う。
「まぁ、別にいいよ。今回は双方悪かったってことで。……今後の付き合いを考えるかもしれないけどな」
「ま、待ってくれ!」
俺の何気ない言葉に、ソニアの顔が一気に青ざめた。どうやら俺が言った「付き合いを考える」というのを、トリスタンと国交を断つと言っていると勘違いしているらしい。
「ロゼリア、自分の不始末は自分でなかったことにしてもらいなさい。これはお前が思っているよりも、ずっと大きな問題なのだぞ」
「は、はい……」
ソニアの厳しい口調に、ロゼリアはますます縮こまる。
「王子の尻にフラッグを突き刺したのなら、自分も刺される覚悟があるということだな」
「……は、はい……姉様……」
涙目になりながら、震える声で返事をするロゼリア。
「いや、俺別に妹ちゃんの尻にビーチフラッグ刺したいとか思わないんだが」
「王子、この子を女にするということで、今回の件は水に流してもらえないだろうか?」
「女に……?」
一瞬、言葉の意味がわからなかったが、すぐにハッとした。
(これ、エッチイベントだ……!)
古典的な展開が脳裏に浮かぶ。
「姉ちゃんのせいでケガしたから、慰謝料払ってもらうぜ。その体でな!」――まさにそんな昭和のノリの話だろう。
ロゼリアは、まるでオークの生贄に捧げられるかのように身体を強張らせる。しかし、王族としてのプライドがあるのか、唇を噛み締めて覚悟を決めたようだった。
「……此度の件、わたしの体で済ませられるのでしたら、どうかお好きにして下さい。ハーレムに入れとおっしゃられるのでしたら、このロゼリア・ブランネージュ、その覚悟が――」
「いや、やっぱいいや」
俺は手を振って断る。
「君、ちょっと性格悪そうだし、ハーレムに引き取りたくない」
「はぁっ!? あんたみたいなオークに拒否されるなんて、ありえないんだけど!?」
顔を真っ赤にしたロゼリアが、ガバッと立ち上がる。
そういうとこやぞ。
プライドを傷つけられた彼女を無理やり座らせて、頭を下げさせるソニア。
「王子の寛大な処置に感謝する。お前も言うんだ」
「お、おお王子の処置に感謝、いたいたし、ます」
めちゃくちゃ顔が引きつってるな。
この子ちょっと面白いかもと思い始めてきた。
◇
その日の夜、妹ちゃんの歓迎会ということでパーティーが開かれたものの、なぜか俺とテーブル席を隣同士にされた彼女は一生気まずそうにしている。
チラッと様子を横目で伺うと、なんであたしがこのデブ王子の隣に……と、顔に思っていることが書かれている。
「めちゃくちゃ不服そうだな」
「い、いえ、全然そんなことありません王子!」
「あーあ、妹ちゃんに刺されたケツがまだ痛いな」
「すみませんって……あの妹ちゃんって言い方やめてくれませんか?」
「ロゼリア……なんか言いにくいんだよな」
「別に略してもいいですよ。親しい人はロゼって呼びますし」
「じゃあロリって呼んでもいいか?」
「ダメに決まってるじゃないですか、お尻にフォークさしますよ?」
「君が略して良いって言ったんじゃないか」
「なんでそんな間を取る略し方になるんですか」
おかしいな、古来よりエロゲは、け◯りなとかこん◯ゃくとか、わけのわからん略し方をするんだが。
「じゃあ俺もロゼにするかな。君も俺のこと遠慮なくイケメンって呼んでくれていいぞ」
「イケメン……オーク」
「あ?」
「いえ、なんでもありません」
こいつ少しは毒を混ぜないといられないタチなのか。ってか、俺と喋ってる時めちゃくちゃテンション低い。我リガルドの王子ぞ、もう少し愛想よくせーよ。
そんな話をしているとエプロン姿のママ上が、次々に料理を並べていく。あっという間にテーブルの上はご馳走で満たされた。
「これがリガルド料理ですか、すっごく美味しそうです~♡」
猫かぶりスイッチを入れたのか、ロゼは高い声で嬉しそうに体をくねらせる。
「うふふ、トリスタンの人があまり食べたことなさそうなのを選んで作ってみたの」
「ありがとうございます~。うわ~チキンパスタにクラムチャウダー、こっちは鮭のムニエルですね~」
食事が始まり、全員がガツガツと料理をかっくらっていく。
俺も両手にマンガ肉を持って、今日消費したカロリーを摂取する。
もしゃもしゃと食い漁っていると、隣のロゼが水以外に口をつけていないことに気づく。
「どうした、さっきまであんなにはしゃいでたのに食わないのか?」
「いえ、食べます食べます。食べますが……あたしベジタリアンっぽいところがあって」
「野菜以外受けつけんのか?」
「そこまできつくはないんですけど……」
「なら食べてみると良い。このカニ出汁は美味いぞ」
「カニ……ですか、あの泥の中にいるハサミのある奴ですよね?」
「田んぼのザリガニみたいに言うな」
彼女は眉を寄せ、泥水を見るような目でスープを見ると、ゆっくり口をつける。
「あっ……美味しい」
ロゼは飲んだ瞬間、目を見開いた。
「だろう? ママ上の料理はリガルド1だからな」
「ウフフ、ありがとうラウルちゃん」
「やば、これ美味しい。えっなにこれ……」
一度動き出したスプーンとフォークは止まらず、ロゼは料理を平らげていく。
やがてテーブルの上は空の皿だけになっていく。
「はぁ……美味しかった」
「お粗末様」
「正直衝撃でした。ほとんど食べたことない料理でしたから。舌が初めての味に驚いてます」
外国人が初めて寿司を見て、生魚とかマジか? と食わず嫌いしていたのに、いざ食べてみたら絶品だった、みたいなリアクションだな。
「こんな美味しい料理を作れる人が、お姉様以外にいるとは思いませんでした」
一瞬、場の空気が固まり、全員が「ん?」と疑問符を浮かべながらソニアを見る。
ジャガーは「そんなわけないだろ」と笑いながら言った。
「いやいや、ソニアは焦げたフィッシュチップしか作れない女――痛いぃぃぃぃ!!」
どうやらテーブルの下でソニアに足を踏まれたらしい。
ソニアは優雅にティーカップを持ち、何事もなかったように食後の紅茶を楽しんでいるフリをしている。
「私は料理に関してはトライスター級の腕前を持つが、ステラさんはそれに比肩する技術を持っているだろう」
「そうですね、お姉様♡」
ロゼはにっこりと微笑みながら、心底信じている様子で頷く。
「……ソニア、まさかお前、妹に料理できないこと」
言ってないのか? と続きを言う前に、ソニアは俺の前で小刻みに首を振る。
どうやら、それ以上言わないでくれという合図らしい。
「でも、せっかくですし、久しぶりにお姉様の料理が食べたいですね」
「ん? いや、せっかくリガルドに来たのだから、リガルドの料理を食べていきなさい」
「えー、でも、リガルドの食材を使ったお姉様の料理が食べてみたいです」
「そ、そうか? また今度でいいと思うが」
「いえ、是非明日にでも♡」
ティーカップを持つソニアの手がわずかに震え、額には見たことのない脂汗が浮かんでいる。
初めてだ。あの何にでも余裕たっぷりに高笑いする彼女が、ここまで追い詰められているのは。
コメント
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第58話、読み終わりました!ソニアの妹ロゼリア、最初はピリピリしてたけど、実は毒舌でツンデレっぽくて面白い子ですね😂「イケメン…オーク」の返し、めっちゃ好きです。あと、ソニアが料理できないのを必死に隠してるシーン、初めて見る焦り顔で思わずニヤけました。読んでてすごく楽しかったです!次も気になります〜