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13 - 第10話:影の工房

2025年12月06日

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第10話:影の工房

夜の市民区は、昼間の喧騒とは別の顔を見せていた。

明滅する看板の裏、誰も近づかない路地に、ひそやかな噂が流れていた。


「国家フォージャーは、裏で兵器を造っている──」


その情報を持ち込んだのは、痩せた青年だった。

名はセリオ。

青みがかった短髪に、煤で汚れた灰色の作業着を纏い、片方の目元には古傷が走っていた。

第三の眼は弱々しく光り、彼が未熟な民間のオーバーライターであることを示していた。


クオンは灰色の瞳を細め、静かに問いかける。

「……どこで、その噂を聞いた。」


セリオは唇を震わせ、声を潜めた。

「郊外の廃工場だ。表向きは閉鎖されたはずの場所で、夜な夜な光が漏れている。

あそこでは“人ではないトピオワンダー”が造られているって……」


クオンの脳裏に、師匠ライラの言葉が蘇る。

「管理できない未来……見えるか?」

もしそれが事実なら、国家は未来を守るどころか、自ら破壊を生み出していることになる。


翌日、クオンは噂の廃工場に向かった。

鉄鋼の壁に囲まれた巨大な建物は、昼間は沈黙していた。

だが夜になると、暗黒物質が揺らめき、内部から低い唸り声のような音が漏れていた。


その光景を陰から見張る人影があった。

長身の男、鋭い輪郭に黒い外套を羽織り、額の第三の眼が薄緑に光る。

彼の名はヴァロス。

国家直属のフォージャーであり、裏活動の中心人物。

黒髪を短く刈り込み、口元には常に冷たい笑みを浮かべていた。


「命は道具だ。秩序を守るために最適化すればいい。

だから私は造る……“兵器としての命”を。」


その声は重く、廃工場の壁越しに響くようだった。

クオンは灰色の瞳を強く光らせる。

命を守る正義と、命を造る狂気──二つの思想の衝突は、もはや避けられないところまで迫っていた。


街では相変わらず、子どもたちが配合ペットを抱いて笑い、親は未来修正の通知を受け取って安堵していた。

社会は、何も知らない。

その裏で、命は「救われ」「売られ」「兵器として造られて」いた。


クオンは静かに息を吐いた。

「……師匠。俺は、ここで何を守ればいい。」


廃工場の光が夜を裂き、クオンの孤独な影を長く伸ばしていた。






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