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Kai
コメント
1件
やっと物語が動き出します。 ここ、グラディウスバトルシーン 豊富にできたらと思います。 人物多いから収集できるかな)
薄暗い路地裏。
男が倒れている。
その周囲に立つ影。
「……またか」
低い声が響く。
「最近、いい獲物が増えてきたな」
笑い声が広がる。
数十人の集団。
武装した者たち。
その中心に、一人の男。
「次はどこを狙う?」
誰かが問う。
男は口元を歪めた。
「決まってるだろ」
「魔王を目指す連中だ」
その目が光る。
「強い奴ほど、価値がある」
「……フフ」
⸻
この町は、どこか歪んでいた。
名は――グラディウス。
石畳の通り。軒を連ねる古びた建物。
見た目だけなら、どこにでもある地方の町。
だが――
人の気配が、妙に少ない。
店は開いている。
だが、客はいない。
窓の奥からこちらを伺う視線。
扉がわずかに開き、すぐに閉じられる音。
笑い声はない。
活気もない。
あるのはただ、
“関わるな”という無言の圧力だけだった。
風が吹き抜ける。
その中を、ひとりの男が歩いていた。
黒いローブ。
目深にかぶったフード。
――アルド・ヴェイン。
彼は周囲を見回し、小さく息を吐く。
「……嫌な空気だな」
足を止めることなく、淡々と進む。
⸻
――少し前。
デブル城。
崩れた玉座に腰掛けたまま、
アルドは天井を見上げていた。
静寂。
本来なら、すべて終わったはずだった。
魔王は倒した。
報酬を受け取り、どこかで静かに暮らす。
それでよかった。
だが――
「魔王を続けろ、か」
女神セレスティアの言葉が頭に残る。
“これは命令よ”
アルドは顔をしかめた。
「……冗談じゃない」
だが現実は変わらない。
魔王が消えれば、世界の均衡が崩れる。
だから“魔王は存在し続けなければならない”。
その役目を、押し付けられた。
アルドはゆっくり立ち上がる。
「……やるしかない、か」
小さく息を吐く。
ただ魔王のフリをするだけなら簡単だ。
だが――
「情報がなさすぎる」
人間側の動き。
冒険者の実力。
世界の流れ。
それらを把握しなければ、すぐにボロが出る。
「……なら」
答えは一つ。
人のいる場所へ行く。
情報が集まる場所へ。
アルドは思い出す。
魔王城へ向かう途中の町――グラディウス。
冒険者が集まり、
そして“消える”場所。
「ちょうどいい」
危険な場所ほど、情報は濃い。
強い奴も集まる。
「様子見には最適か」
ほんの少しだけ口元が上がる。
「ついでに――」
指先に、わずかな魔力が灯る。
「厄介なのがいるなら、潰しておくか」
――と言いたいところだが。
「ちょっといいかしら?」
背後から、場違いなほど澄んだ声。
振り返るまでもない。
「……またか」
アルドはため息をつく。
振り返る。
そこには――光。
その中に立つ、ひとりの女性。
長い髪。整いすぎた顔立ち。
人間離れした気配。
女神セレスティア。
彼女は微笑んでいた。
「随分と勝手に話を進めるのね」
アルドは肩をすくめる。
「仕方ないでしょ。どっかの誰かさんが
魔王の役割を引き継げって言うからさ」
「情報集めくらい必要だろ」
そう言って地図を開く。
「ここだ」
指を置く。
「グラディウス。ここから一番近い町だ」
「城にも近いし、冒険者も集まる」
「今の情勢を知るにはちょうどいい」
セレスティアが首を傾げる。
「この城はどうする気よ?」
アルドは少し考え、
「……本当はあんたに任せたいとこだけどな」
「女神様を雑に使うわけにもいかないし」
ぼそりと呟く。
セレスティアはじっと見つめる。
「あなた……そういえば魔法は?」
「……」
沈黙。
「おーい、聞こえてますかー?」
「こっち向けー」
無視。
そして――
「ならこうするか」
アルドがぽつりと言う。
「この城、崩して隠蔽すればいいか」
セレスティアは一瞬固まり、
「……やっぱり素質あるわね、魔王の」
呆れたように呟いた。
(……まぁ、なんで魔法を使わないかは聞かないであげるわ)
(最低限の守護はかけておく)
(情報を集めたら、さっさと戻りなさい)
――そして現在。
「……と言われて来たものの」
アルドは町を見渡す。
「これは長丁場になりそうだな」