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「こちらが、ご依頼の調査報告書になります」と言って、越野哲太さんはクリアファイルに挟まれた『調査報告書』を差し出した。


事務所に入ってコーヒーを出され、元妻の里奈の現住所や生活環境を調べて欲しいと言うや否や、それはテーブルの上に置かれた。


「どういう……ことですか?」


「実は、四か月ほど前に、その名刺の女性があなたと同じ内容の調査を依頼しました。その方から、あなたに報告書を渡すように言われています」




満月が……?




俺は、満月を抱いた一週間後、教えられた越野調査事務所を訪れていた。


ここに来れば、満月のことがわかると思ったから。


もちろん、里奈の調査も依頼するつもりだったが。


満月の本当の名前を、俺は知っていた。


最初にホテルに行った時、彼女の隙を見てバッグにメモを忍ばせると同時に、いかにも札束が入っていますと言わんばかりの分厚い茶封筒と、その脇に名刺入れがあった。


俺は名刺を一枚抜き取り、持ち帰っていた。


最初は、確かに、変な女だと、関わらない方がいいと思った。


最初から、彼女は俺を知っている風で、けれど絶対に言うつもりはなさそうなのは、何か事情があるからだろうと察してはいた。


それが知りたくて、メモを渡したつもりだった。


なのに、二度目に会った時、自分でも驚くほど彼女との再会を望んでいたのだと思い知った。


弱っている時に優しくされたからかもしれない。話を聞いてくれたからかもしれない。


会えない一カ月間、俺は自分が彼女を想う理由を考えていた。が、いざ会ってしまったら、どうでも良くなった。


俺は彼女に会いたかった。触れたかった。


それが全て。


どうしても、彼女と繋がっていたかった。


夢中で抱いて、素直にこれからも会いたいと伝えたのに、彼女は応じなかった。


だから、俺は|越野調査事務所《ここ》に来た。


「彼女は、誰なんですか?」


「その女性は――」


俺は、越野さんの口から満月の正体を知った。


満月を抱いて、満月の夜に抱かれて

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