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62 - 第22話:赤いマークの野菜

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2025年10月18日

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第22話:赤いマークの野菜

スーパー


夕暮れの街。

大和国のスーパーには「ヤマト認証マーク」のついた野菜がずらりと並んでいた。

赤い円のシールが貼られていない商品は、すべて棚から撤去されている。


まひろは、淡い水色のパーカーに濃いベージュのハーフパンツ。首には小さなタオルを巻き、かごを両手で抱えていた。

棚に残った白菜を見つめながら、無垢な声を出す。


「ねぇミウおねえちゃん……なんでマークがない野菜は売っちゃいけないの?

これ、ぜんぜん普通に見えるのに……」


隣のミウは、薄紫のブラウスにロングスカート。髪をゆるくまとめ、耳元でイヤリングを揺らしながら、ふんわりと笑った。


「え〜♡ だってマークがついてないと“安心”できないでしょ?

ヤマト認証は、大和国が未来を守るっていう約束なんだよぉ♡」


コメント欄には「認証大事!」「赤いマーク=安心」「未来の食卓ありがとう」の声が流れた。





老人の声


店の隅では、年配の男性が紙袋を握りしめていた。

彼の服は色あせたシャツに古びた帽子。手には小銭が握られていたが、レジは受け付けない。


「これまでの野菜で十分食べてきたのに……」


彼の言葉は小さく、すぐに背後の警備ドローンが近づいてきた。

「不適切な発言を確認しました。記録します」


その映像はすぐにネット軍のデータベースに送られる。





無垢とふんわり同意


まひろはかごを抱えたまま、瞳を揺らして言った。

「ぼく……ただ“普通の野菜も食べられるんじゃないかな”って思っただけなのに、全部マークつきになっちゃった……」


ミウはイヤリングを指で軽くつまみ、やわらかな笑みを浮かべた。

「え〜♡ でもその方がいいんだよぉ。

みんなが同じマークの野菜を食べれば、未来も一つにまとまるんだから♡」


コメント欄は「そうだ!」「未来は赤いマークで守られる」「安心ありがとう」で溢れていた。





結末


暗い部屋で、緑のフーディを羽織った**Z(ゼイド)**がスーパーの監視映像を眺めていた。

画面には赤いマークのシールが自動で貼られる様子が映っている。


Zは低く笑った。

「食卓は記憶だ。

赤い印を貼るだけで、人は“安心”を食べたと思い込む。

未来なんて、胃袋から書き換えられる」

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