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37話 工場見学
朝。
校舎は静か。
教室。
黒板の前に立つ先生は、
背が高くない。
肩は丸く、
服はいつも同じ形。
チョークは短い。
指に粉がついている。
板に書かれる数字。
5400 食品工場地帯
5500 機械製造工場地帯(石機械の外装・機械組み立て)
5600 医療品工場地帯
5700 衣服工場地帯
5800 化学製品工場地帯(製紙を含む/化学石加工)
8000 金属工場地帯(鉄製造・構造物製造・鉄製の部品)
8009 効果石加工工場地帯
8010 関数石製造工場地帯
「ここは、生活を支える場所です」
声は淡々。
抑揚は少ない。
子どもたちは、
机に座っている。
足は床についたり、
少し浮いたり。
ノートを取る子。
数字だけ写す子。
何も書かない子。
「今日はこのあと」
先生は一度、
黒板から離れる。
「社会見学に行きます」
ざわっとする。
椅子が鳴る。
向かう先は、
食品工場。
バス。
窓際に座った子は、
額をガラスにつけている。
髪は短く、
制服の袖は少し長い。
工場の建物は、
大きい。
音が低く、
途切れない。
中。
床はまっすぐ。
通路は広い。
人は少ない。
機械が動く。
一定の間隔。
一定の速度。
説明は短い。
数字は出ない。
「ここで作られています」
先生の声が、
機械音に溶ける。
子どもは、
手すりに触れる。
冷たい。
帰り道。
さっきの数字が、
頭の中で並ぶ。
5400。
5800。
8000。
ノートの端に、
小さく書く。
数字の向こうに、
生活がある。
それだけが、
なんとなく、
分かった日だった。