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第12話:スコア化された恋
朝の校内放送が終わった直後、教室に緊張が走った。

生徒たちは一斉にスマホを開き、アプリの通知を確認している。

そこには、恋レアアプリの最新アップデート情報が表示されていた。


新機能として、“恋愛力スコア”の実装。

カードの使用頻度、成功率、相性データ、SNS上の共感数などを自動解析し、0~999の数値で“現在の恋愛影響力”が可視化されるという。


黒板横には、クラス内ランキングのリアルタイム表示モニターが設置された。

色とりどりの名前とスコアが並ぶ。上位には常連のカップルが名を連ね、下位にはまだ恋レア未使用の生徒たちの名前が沈んでいた。


天野ミオは席に座ったまま、その表示を静かに見つめていた。

制服のスカートに置いた手がわずかに震えていた。


彼女の名前はリストに表示されていた。スコアは「67」。

ウルトラレアカード《一目惚れの再定義》を使ったことが影響していたが、使用失敗の記録が点数を下げていた。


前髪の隙間から、隣の席を見る。

大石リノのスコアは「842」。

彼女はミオに笑いかけながら、鏡を取り出してリップの色を整えていた。


教室内の雰囲気はどこか変わっていた。

上位者はまるで優等生のように扱われ、下位者は目をそらされる。

声をかける前に相手のスコアを確認する空気が、当たり前になっていた。


昼休み、購買部前には長蛇の列ができていた。

新発売のスコア向上特化カード「恋愛ブーストパック」が数量限定で配布されていたのだ。


白いカーディガンを羽織った男子生徒が、嬉しそうに《恋愛スピードアップ》のカードを見せびらかしている。

女子たちもスコア上昇を狙い、使用するカードを吟味していた。


その様子を見つめながら、大山トキヤは食堂の窓際に腰を下ろしていた。

今日の彼はカーディガンを着ておらず、黒いシャツに制服のジャケットを肩にかけている。

ミオが隣に座ると、彼はゆっくりとパンをちぎって口に運びながら言った。


スコアで恋を測られる世界に、彼は何も言わなかった。ただ、ため息のような息を漏らした。


ミオはそっとポケットの中のカードを握った。

演出が現実を支配し、現実が数値に変わっていく。

“好き”という気持ちに、証明が必要になる世界で、自分の感情がどこにあるのか、わからなくなっていく。

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