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…が………です
………ね
……おめでとう御座います、
アクセス完了です。
それでは、行ってらっしゃいませ。
「痛っ…背中痛っ…」
突然辺鄙な場所に飛ばされ腰を打った。受け身を取れるはずもなく。
「全く…どこだよここは」
背中を摩り、立ち上がる。またヒリヒリしていて、衝撃が体を駆け巡っている。日は高く上り、花畑に影を落としている。
(そうだ、自分は誰だっけ)
頭に浮かぶ疑問。
背中の衝撃が目覚ましとでもいうように、わずかに痛みが再開する。
どこから来たのだろう。周りを見ても花畑で、地平線まで続いているようだった。
ほのかに香る、その白い花は思考を止めるようだった。まだ夢に誘うつもりか。
とりあえずは花畑を抜けたかったが、そうにも行かない。踏み躙りたくはなかった。とりあえずは、立っているしかない。しかし、ぼうっとする。まだ何かを忘れているような…
「…ぎ、らぎ、…如月!」
「ンガッ!!」
慌てて飛び起き、その影響で机が大きくガタンと揺れ、机上の物がバラバラと散らばる。
「まーた居眠りかよ」
「今度は何の魔王が襲ってくるのかしら?」
「闇の騎士とかドラゴンかもな」
周りからはクスクスと笑う声。顔がトマトのように赤くなり、俺は顔を伏せた。そう、何度目だろう。ようやく恥ずかしい黒歴史の厨二病が終わり、俺は普通の中学生になっていた。
だが、そんな時期にこんな夢は恥ずかしい。自身の心を踏み躙られている。夢よ、俺に何の恨みがあるんだ…。
真っ赤な顔のまま、ペンケースやら何やらを拾う。ノートは違うページのまま落ちており、黒歴史の自分の描いた絵ばかり。それを見られ、また笑われる。
どうせならノート、ぜんぶ引きちぎっとけば良かった。
消しゴムを使うのもめんどくさく、教科書で絵のページを適当に隠した。先生の授業もろくに聞けない。七月も終わりに差し掛かった暑い夏、ただでさえ窓際の席の俺は首筋に光が当たり焼けつきそうだった。
ノートを貸してもらうわけには行かないため、授業を適当に聞いて、メモを取る。それからはあまり覚えていない。気づけばもう終礼が済んでいた。校内放送で放送委員の声が響く。
図書室にでも行こうか。遺跡に関してレポートをまとめなければいけない。
別に夏休み中に終わらせてもいい。だが、早くやらないと安心できないのだ。
「こういうのは社会科の先生に聞くべきか?」
「僕なら教えるけど」
自問自答。寂しいな。
…ん?今誰が返事した?
慌てて振り返るが、誰もいない。急に寒くなってしまったようで、慌ててエアコンの設定温度を確認する。温度は全く変わっていない。それが一番怖かった。
「ここだよ、こーこ」
本棚から声がする。恐る恐る近づき、一冊を手に取る。パラパラとめくるが、何も言わない。
「上見て、上!」
本棚の上の方を見ると、確かに上から声がする。どうやって喋っているんだ?という疑問を押し込め、脚立を持ってくる。
「それがないといけないの?チビだね」
うるさいな。もし変な本だったら破いてやる。いや喋ってる時点で変だけど。俺は脚立を持った。本棚の上の方まで行けるように。手をかける。それでも届きづらい。それでも手を伸ばしようやく1冊の本を手に取ることができた。
その本は薄く汚れて、所々ちぎれているような革製のもの。おそらく上等だったのだろう。
「お前が、噂の”日記”さんか?」
「大当たりだよ」
やっぱりか。この噂の日記さんは本には何でも書いてある。本当に、何でも。ただし読めない言葉で。いつの時代、誰がその本を書いたのかわからない。この学校が手に入れた方法もわからない。厨二病が嫌になった俺は今すぐにでも窓から投げ捨てたかった。
「何で俺を呼び止める?他にいくらでもいただろうに。」
「ボッチだし。口が固そうだし。」
投げ捨てていいか?と聞きたいがそんな短気ではダメだ…反抗期も入ってしまったかも。
自分に飽き飽きし、とりあえず相手に質問する。
「お前は本当に何でも知ってるのか?」
「うん、本当だよ」
「本当に?」
「本当だよ」
「嘘は?」
「ついてない。というかつけない」
「本当に?」
「…ねえ、ちょっと、信用する気ないでしょ」
ついに嫌になったのか日記が堪える。
「もちろん信用する気はない。嘘つきっぽいからな。」
「たくっ…だから友達がいないんだよ…」
その言葉を吐かれた刹那。俺は日記の1ページを引き裂いていた。
「いぎゃあああ!!」
まるで日記は子供のように喚いた。俺は自分でも何をしてしまったのかわからず、日記を静かにさせるために物置に飛び込んだ。
「悪かった!頼む、静かにしてくれ!」
何とか宥めると、日記が何かを呟いた
「さっきのは、演技だよ…君が、もう同じことをしないように心得てもらうためにね」
「同じ間違いだと?」
「手を見てごらん。」
俺は言われるがままに手を見た。すると、さっきまでの日記のページが、塵のように崩れ去った。
「あーあ、ほら」
「ど、どういうことだよ!」
思わず声を荒げたが、図書室にまだ誰か残っているとバレてしまう。声を抑え、話しかけた。
「いいかい?ページはもう取り戻せないのさ」
「取り戻せないって…」
「はあ…いいかい?僕はね」
あとがきです…高評価ならいいな