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ある日、俺は変な夢を見るようになった。触手の化物が、俺のち・こに吸いつく夢だ。だけど、それはどうやらただの夢ではなかった。あの化物は、夢魔というのか、夢を扱う力を持っていたようで、そのせいか、俺は他人の夢に入って操る力を身につけた。
しばらくは近所の女の子を操って遊んでいたが、だんだんそれも飽きてきた。というか、せっかくこんな能力を身につけたのだから、もっといろいろやりたくなったのだ。
しかし、いろいろ実験してみた結果、俺の夢の中の世界なので、俺が詳しく知らないことはやっぱり具体的に出来ない、ということが分かってきた。例えば夢の中で大人の女の人とえっちしたいと思って、大人の女の人を出現させても、体とか視力が悪いときみたいにぼんやりしてしまう。小学生の俺が大人の女の人の体をよく知らないから、そうなるみたいだ。
それなら、俺自身が詳しくなれば、夢の中で出来ることも増えるんじゃないか? そう気づいたまではよかったが、じゃあどうするか、がなかなか難しい。例えば俺はスマホを持っていない。家にはPCがあるけど、親の許可がいる。学校のタブレットは、えっちなこと調べてるのが先生とかにばれるとやばすぎる。
どうしたもんか……。と、そのとき、いいことに気が付いた。学校の裏山の廃屋に、大昔に捨てられたえっちな写真の載った週刊誌が大量に捨てられている、という噂を聞いたことがあったのだ。あれがまだ残っていたら……。探してみる価値はあるかもしれない。
放課後、俺は一人学校の裏山に向かった。裏山は、草木が生い茂って、歩きにくかった。そのせいで人気も無くて、ちょっと怖い雰囲気だ。でも俺はえっちな写真を探すことに夢中で、そんな怖さはどうでもよかった。
しばらく裏山をさまよっていると、急に視界が開けた。そこには、使われなくなって放置された物置小屋があった。そして……そこには大量の週刊誌が投げ捨てられていた……
やった! 噂は本当だったんだ! 俺は喜び勇んで、週刊誌の山を漁った。どれもこれも大人の女の人があられもないポーズをしているのが表紙の雑誌だった。すごい……これが、えっちな本……! 興奮してきた俺は、一冊、適当に手に取って中を開いてみた。するとそこには裸で絡み合う男女の姿が……! おお……すごい! なんか感動だ!! しばらくそうやって雑誌を読んでいると、既に日が傾きかけていることに気づいた。しまった、ここを探すのに夢中で、帰る時間のことを忘れていた! 俺は慌ててまだ目を通してない雑誌をかき集めると、急いで山を下りた。
とりあえず雑誌は近くの公園に隠すことにした。家に持って帰ったら、親に見つかってしまうかもしれないからだ。その後、おれはちょくちょく公園に行って、トイレの後に隠したえっちな雑誌を読んでいた。だけどある日、公園のトイレの裏で雑誌を広げて読んでいると、急に声をかけられた。
「ちょっと、君、何しているの?」
振り向くとそこには、明るい茶髪にミニスカートの、ギャルっぽい、高校生くらいの女の人が立っていた。
「あ、あの……えと……」
俺がしどろもどろになっていると、女の人は、
「君、もしかして、えっちな本読んでるの? だめよ。まだ子供でしょ」
と言ってきた。俺は慌てて雑誌を隠そうとしたけど、女の人がそれを許してくれない。
「君、名前は?」
「あ……えと……」
俺はパニックになって、とっさに走って逃げた。
「あっ、こら、待ちなさい!」
その場はなんとか逃げ切ったけど、俺は急に腹が立ってきた。なんで邪魔されないといけないんだ! 俺はなんとかあの人をこらしめてやろうと、とりあえず後をつけることにした。急いで公園に引き返すと……
「あ! いた!」
例の女の人が公園の近くを歩いているのが見えた。俺はとっさに物陰に隠れた。そのまま気づかれないように後をつけると、女の人は一軒の家にはいっていった。俺は少し間を開けて、その家の表札を見た。
「奥村……それがあいつの名字か」
と、そのとき、
「おい、そこで何している?」
という声が聞こえてきた。
俺は一瞬ビクッとなって、急いで振り向くと、そこに長身の男が立っていた。
「あっ、いや、その、俺は……えと……」
「お前、まさかあの子の後をつけてきたのか? 」
「え、あの……」
俺がどうしていいかわからずにいると、男は俺をじっと見て、
「ほう、夢魔か。お前、おもしろいものをつけているな。ちょっと来い」
そう言って、俺の腕を引っ張ってきた。
「えっ、ちょ、ちょっと」
俺はそのまま男に連れていかれた。
「どこに行くんですか? っつーか、あんた夢魔のことがわかるのかよ?」
「ああ。私はそういうのが見える体質でね。ついでに言うが、お前は夢魔を使いこなせていないだろ?違うか?」
「う……」
なんでこいつはこんなことが分かるんだ? 俺がそう考えていると、男は「ついてこい」といって俺をとあるマンションまで連れてきた。
(つづく)