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わわ…!

二科くんって、榊くんとちがってやさしくて気さくなんだけれど…ちょっと気さくすぎて困る時があるんだよなぁ…。

思わず仰け反ると、とんとテーブルに両手をつかれて、閉じ込められるような状態になった…。

「あーほんと可愛いよねー日菜ちゃんって。晴友からイジワルされてるのを見るとさー、もーぅ守ってあげたくてしょうがなくなるよー」

「ま、守ってもらうだなんてそんな…。いけないのはドジなわたしの方だし。…榊くんに怒られないようにもっとがんばらないと…」

「ふふっ。がんばり屋なんだね、日菜ちゃんは!」

そう言って向けてくれたのは、応援してくれるかのような満面の笑顔。

お店にくる女の人たちが「癒される~」ってよく言って、明るい笑顔だ。

「じゃあ、がんばり屋の日菜ちゃんに俺からの差し入れ」

と、テーブルの陰から出してくれたのは、トロピカルカラーが散りばめられたフルーツパフェ。

見ただけで元気になるようなまぶしいマンゴーのイエローが瑞々しく輝いている。

お店で出しているフルーツパフェで一番人気の『スペシャルサマーマンゴーサンシャインパフェ』だ(名前覚えるの苦労したなぁ…)。

「わぁ!ありがとう!」

お店でも5本指には入る人気メニューで、サマーシーズンになると、売り切れてしまうほどだ。

榊くんがケーキ作りの名人なら、拓弥くんはパフェ作りの名人。

元気で色鮮やかで、しっかも美味しいオリジナルパフェは、拓弥くん自身が考案したものも多くて、このパフェもそのひとつ。

「これを食べて、気分スッキリ、元気だしてがんばってね」

「ありがとう…!いただきますっ」

マンゴーアイスとクリームチーズホイップを一緒にふくむと…甘くまろやかなマンゴーの味と、酸味の強いクリームチーズが合わさって、爽やかな美味しさが口の中いっぱいに広がる。

サクサクのパイスティックに乗せて食べると、パイの香ばしさと相性ばっちりで…もうスプーンが止まらないっ。

「うーん、しあわせ…!!」

「さんきゅ!日菜ちゃんの笑顔が見れて、俺もしあわせだよーぉ!そのかわいい笑顔のためなら、俺、いくらでもおいしいパフェ作るからね!」

わわ…!

ぎゅっと手がつかまれて、マンゴーに負けず劣らずのキラキラな目が近づいて……くるかと思ったら、

「おーっと、抜け駆けはダメだよ、拓弥くん」

「お、お、おお!?」

ぐいっと後ろに遠のいた。

「困ったことがあるなら、やっぱり年上に相談しなきゃね?日菜ちゃん」

ぞわってする色っぽい声…。

見上げると、拓弥くんの頭上でシェフスタイルの男の人がウインクした。

四宮暁(しのみやあき)さん。

キッチンを担当している大学生のお兄さんだ。

高い身長に、ラフに結んでいる明るい茶髪がよく似合っていて、キッチンにこもっているのがもったいないってくらいかっこいい。

もし榊くんや拓弥くんと一緒にホールに出たら…綺麗なお姉さんが毎日押しかけてきて、お店は今以上にてんてこまいになってしまうんだろうなぁ…。

「ちょっ、暁兄っ邪魔すんなよ!せっかく俺がはげましていたところなのに!」

「仲間思いなのはけっこうだけれど、拓弥くん、今休憩時間じゃないでしょ?」

「う…」

「いいの?早く戻らないと…美南ちゃんの怒りの鉄槌が…」

「あ、あ、暁兄だって休憩じゃないだろっ!」

「ふふ、声裏返ってるよ?俺は補充取りに来たついでだから大丈夫。さぁ日菜ちゃん、拓弥くんは放っておいて、困ったことがあるのなら、お兄さんが相談に乗ってあげるよ?」

と、床に膝をついて、まるで王子様のようにわたしを見つめてくる四宮さん。

包み込んでくれるような余裕にあふれた様子にほんのり胸を温かくしながら、わたしは弱く微笑んだ。

「ありがとうございます…。でも困っているわけじゃないんです…。ただ、わたしってどうしてこうトロくさくてドジなのかな、って…」

「そんな風に思っちゃダメだよ?日菜ちゃんはおっとりしているだけだし、アルバイト自体初めてなんだから仕方がないよ。晴友のイジワルなんか気にしちゃいけないよ」

「…でも」

「だめだめ。深く考えない。ほら、美味しいものを作ってきたから、これを食べて元気だして」

と、差し出してくれたのはアイスクリームと生クリームがふんだんに乗った、

「ワッフル!わぁ美味しそう…!」

「疲れた時には甘いものが一番。日菜ちゃんも甘いもの大好きでしょ?はい、あーん」

「え…っえ…」

と、フォークに刺されたひとかけらを差し出されて、戸惑う。

あーん…って小さい子じゃないのに、恥ずかしいなぁ…。

なんて困っていると、カリカリのワッフルの端からバニラがとろり…

とっさに、あむっとほおばる。

カリっ

という歯ごたえの次に、ふわぁって柔らかい食感。

冷たくて甘いバニラ味。

ワッフルのほくほくの風味と交じりあって、口の中いっぱいにやさしい甘さが広がる。

ああ…なんてしあわせな味…。

「どう?日菜ちゃん」

「ほいひい…」

ほっこりしあわせを、よく噛んで噛んで味わう。

やっぱり、暁さんのワッフルはすっごくおいしい。

拓弥くんのパフェと榊くんのケーキと並ぶ人気メニューなのも無理はない。

「やっぱり、四宮さんのワッフルは絶品ですね」

「ふふありがとう。日菜ちゃんにそう言ってもらえてうれしいよ。ところで、俺のこと『四宮さん』なんて他人行儀に呼ぶことないよ?」

「え?」

「俺のことは『暁さん』って呼んで?それか『暁お兄ちゃん』でもいいよ」

「あ、はい、えっと…」

「あき…さん」っておずおず言うと、四宮…暁さんはすこし下がり気味の目尻を細めた。

「イジワルな晴友に負けないためにも、俺の愛情がこもったワッフルを食べてがんばってね」

イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で

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