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#オリジナルストーリー
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「お初にお目にかかります。私はアリス様の執事をさせて頂いております。サバトと申します。以後、お見知りおきを」
「あぁ……こいつが」
『月と魔法は踊る』アリスが闇堕ちする元凶。
「ところで貴方は……? どうしてお嬢様の隣にいらっしゃるのでしょう?」
「あぁ……俺はイヴィル・ヴィルサルム。そこのアリス嬢が迷われていたようで案内をしたまでさ」
俺はサバトの問いに答えると、
「あぁ……あの」
サバトは俺を嘲笑した。
文字通り馬鹿にしたような雰囲気。
「何か含みのある言い方だな」
俺がサバトに尋ねると、
「それもそうでしょう。ヴィルサレム家の一人息子といえば、魔法が使えない無能だと」
「サバト……! 貴方はなんて失礼なことを!」
「失礼?? 私は事実を申し上げたまでですが?」
サバトはあっけらかんとした様子で言う。
「いいですか! 私達は領民の安全ために交渉をしに来ているのです! さすがの私も看過できません!」
「はぁ……お嬢様が看過できなくても、ご主人は私に何もできませんよ?」
まるで立場が逆だ。
その異様とも取れる光景が、既にアリスの身に魔族の毒牙が触れているのだと察した。
まぁ、それはそれとして馬鹿にされると腹が立つ。
「ふむ……それでは試してみるか??」
「は?」
「ちょっと俺に魔法を打ってみろ。なぁに、俺が許可する。有能なんだろ? やってみろよ」
「……いくらヴィルサレムの嫡男とはいえ、戯れが過ぎるようですね」
サバトは苛立ちを隠すことなく言う。
「サバト!! いい加減にして! イヴィル様もお止めください! イヴィル様はヴィルサレム公爵家の跡取りなのです! こんなことで怪我をしてはいけません!」
「アリス嬢……レディが少しはしたないですよ」
「そういう問題ではありません!」
「アリス嬢。安心してほしい。俺は負ける賭けはしないのだ。それに」
俺は一呼吸を置いて続ける。
「ここまでコケにされて何もしないのであれば、お父様に怒られてしまうのでね」
俺はイヴィル・ヴェルサレムとして生きていく以上、死亡エンドを回避するだけじゃなく、生きていく上での基盤を作っておかなければならない。
『月と魔法は踊る』の原作の結末を変えられたとして、イレギュラーが存在しないとも限らない。
そういう意味で正しくヴィルサレム公爵家の次期当主として認められなければいけないのだ。
「そろそろよろしいですかね?」
「いつでもどうぞ」
俺はさらっと言うと、
「それでは……ファイヤランス」
サバトは赤の魔法陣を作り出し、焔の槍を俺に射出する。
「ダークパリィ」
俺は闇の魔法陣を右手で展開し打ち消す。
この魔法は打たれた魔法に対して、自分がその魔力相当を消費することで無効化することができる。
もちろん、無限の魔力を手に入れた俺からしたらどんな魔法も打ち消すことができる最強の魔法となっている。
「そんなものか? ほら、もっと打って来い」
「……後悔しても知りませんよ」
「安心しろ。万が一でも俺が怪我をすることがあっても何か請求することはないぞ」
「その減らず口……後悔させましょう」
サバトは再び赤の魔法陣を展開して、
「ギガファイヤ!!」
巨大な火球を打ち出す。
先ほどよりも火力はあるようだが……、
「ダークパリィ」
これも大したものではない。
「す、すごい……」
アリスが賞賛の眼差しを向ける。
だが、そんなことはどうでもいい。
「はぁ……そんなものならがっかりだ」
「まさか……貴様は無能なのではないのか……?」
「お前が勝手にそう判断していただけだろう?」
俺がそう答えると、サバトは溜息を吐いた後に頭を下げる。
「申し訳ありません。どうやら私は噂に踊らされていたようです。さすがは腐ってもヴィルサレム公爵家ということですか」
何故か上から目線のまま話すサバトに俺は苛立ちを覚える。
「なにか勘違いをしていないか? お前が俺を認めたのかもしれないが、俺はお前を無能だと思っているぞ」
俺がそう言うと、
「ずいぶんと馬鹿にされるのですね」
サバトは明らかにイラついていた。
サバトは巨大な赤い魔法陣を展開する。
「疑似太陽」
先ほどギガファイアと比べて、圧倒的な熱量と威圧感。
「今、撤回するのであれば聞かなかったことにして差し上げますが?」
サバトは俺にそういうが、
「何故、撤回しなければならないのか理解できんな」
俺はそう答える。
「そうですか。それならば存分に後悔して下さいませ」
サバトはさらに魔力を高める。
魔法ではあるが、周囲の空気を燃やして酸素が不足していくような錯覚を抱く。
「イヴィル殿。なぁに有能な貴方だ。もしかしたら致命は避けられるかもしれないでしょう。しかし、それで死んでしまった場合は、貴方の死因は私を怒らせたことになるだけ。ただそれだけでございます。それでは良い夢を」
サバトは疑似太陽を放つ。
「イヴィル様!! 逃げてくださいませ!」
アリスが悲痛な叫びをあげる。
だが俺は右手を一薙ぎ。
「消えろ」
無限の魔力を糧にしたダークパリィが疑似太陽を打ち消す。
「は?」
サバトは唖然とする。
「はぁ。大層な魔法名だが……残念だよ」
俺を馬鹿にしてきたやつが、その程度の実力だったのだ。
これは明らかに転生する前のイヴィルの粗相の問題。
こればっかりはどうしようもないことだが、無能に無能呼ばわりされたの事実。
どう転んでも、癪に障る事実は変わりないのだ。
「ば、馬鹿な……ありえない!!」
サバトは明らかに狼狽える。
「ありえないもなにも……目の前で起こったことが事実ではないか」
お前は大したやつではない。
俺はサバトに現実を見せつける。
しかし理解のできないサバトは吠える。
「だが、それは闇魔法だろ!? 所詮は最弱の属性だろ!! 先ほどから闇魔法でどうにかしようとしているのを見るからに、貴様は闇魔法しか使えない!! やはり貴様は無能ではないか!!」
「ふむ……」
俺は思考を逡巡する。
だったら、思う存分現実を見せてやろう。
「それなら受けてみろ。無能や最弱と謳ったその魔法を」
「何を言って――」
俺は指を鳴らす。
「忘却不可の恐怖」
サバトの額に紫色の魔法陣が出現する。
「なっ……!?」
驚いたとしてももう遅い。
無詠唱からの不可避の一撃。
「う、うわぁぁぁあああっ!!!」
サバトの絶叫が周囲に木霊する。
サバトは忘却不可の恐怖が見せる幻影に、表情を苦悶に歪ませた。
「さて……ご理解頂けたかな?」
「助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて……」
俺は錯乱しているサバトの元に近づく。
そして、ゆっくりとしゃがんでサバトの耳元で囁く。
「良い夢は醒めたかな?」
「ひぃ……!!」
サバトは俺を見て、恐怖している。
「お前がキングストン侯爵領で好き勝手していることをしている。それに国家転覆を狙う魔族が運営するコミュニティに入っていることも」
「な、何故そのことを……!」
「貴様が知る必要はない。貴様のようなクズは見るに堪えないからな。お前は今すぐにキングストン家の執事を辞めろ。近々キングストン家に出向く。その時にもしもキングストン侯爵領に一歩でもいるのならば……その時はお前を殺す。分かったか?」
「ひ、ひぃ……! 分かりました……!!」
サバトは歯をガタガタと鳴らす。
「さっさと失せろ」
「う、うわぁぁぁああああっ!!」
サバトは叫びながら無様に走り去る。
もちろん。これで終わりとは思わないが……泳がせておくのも悪くない。
結果として、月と魔法は踊るで出てくる不安要素を一掃することができるかもしれないから。
俺はそう思うと、ニヤニヤが止まらなかった。
きっと今の俺は悪役らしい顔をしていただろう。
「イヴィル様……夢ではないんですよね……?」
アリスはそう俺に尋ねる。
「イヴィル様には本当に感謝しかありません。正直、私はサバトのことを信じていませんでした。サバトが執事と来てから、お母様の様子もおかしくなっていたので」
「そうか。それは大変でしたね」
俺はぶっきらぼうに言う。
これでアリスが本来の死亡エンドを迎えるような未来から解放されたのだから。
それならそれで良いことだから。
「それはそうと、ヴェルサレル様には失礼をしたの働いたことお詫び申し上げます。誠に申し訳ありません」
「それは気にしなくていいです。むしろ俺もムキになりすぎました。これでおあいことさせて頂ければ」
「なりません。私どもの人間が粗相をしていたのです。それとは別に……いつかご恩を返させていただきますから」
「……さようですか」
俺は頬が引き攣るのを感じる。
しがしながら、アリスの頬が紅潮していたような気がしたが、俺は見なかったことにしたのだった。