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「そういえば、フラムから聞いているぞ。魔法の全ての学習を1ヶ月で終わらしたみたいだな」
アリスが帰ってからの晩飯時、俺はお父様にそう告げられた。
ちなみにあの後、サバトは屋敷近くの森で骸になっていたらしい。
死体の状況的にはモンスターに襲われたらしいが、別に俺が知ったことではないが、物理的にアリスとの接触の機会がなくなったことは喜ばしい。
だってのちに面倒になっても困るから。
それとは別に最近になってアンナの態度がすごく軟化した気がする。
まぁ、それが悪いことではないから良いのだけど。
「アンナがそう言っているだけで、実際はまだまだです」
サバトに実力を見せつけた時も本当の実力を隠しながら、相手を屈服させることができた。
上手くいった方かもしれないが、まだまだ調整の余地はある。
より上を目指せる。そんな気がしている。
「くっくっく……私もお前の才能を見誤っていたぞ」
ハインリヒは楽しそうに笑う。
「アンナ。お前もそう思うだろう?」
ハインリヒはアンナに尋ねると、
アンナは嬉しそうに答える。
「はい! 私もそう思います! 最近のイヴィル様はとても紳士でお優しくて……私はイヴィル様に使えて幸せです!」
「アンナ。別に俺をおだても良いことはないぞ」
「別におだててませんよ……? 私は本心からそう思っているんです!!」
まぁ、俺としては何かをしている訳ではないが……勝手に良いように解釈する分には良いだろう。
それにアンナの仕事ぶりには関心する。
笠原 悠馬として生きてきた頃……当たり前の話だが、基本的に身の回りのことは一人でやってきた。プライベートの生活も職場周りのことを含めて行うのが主義だと思っていたからだ。
故に、俺個人の納得できる水準があるのだが、アンナはさも当たり前のようにこなす。
公爵家のメイドというだけあって、やはり優秀であることには違いないのだろう。
「それでイヴィルよ。何か褒美を授けようと思うが……何を望む」
「……よろしいのですか?」
まさかの提案に俺はハインリヒに尋ねる。
俺だって、そんな展開になったと思わなかったのだ。
「良いも何もお前が成果を出した褒美だ」
「まだ成果という成果をあげてませんが」
正直に言えば、自分自身が大手を振って挙げられる実績を残していない。
近い内に何か成し遂げねばと思ってから。
「イヴィルよ。今回、一番褒めていたのはフラムだ。知ってはいると思うが、彼女にはヴィルサレム侯爵家で魔法使いを育成してもらっている。そんな彼女が短い期間で『私が与えられるものを全て授けられた。私が育成者としてイヴィルを育てられたことを一生の誇りに思う』そう言っていたのだ」
「フラムが……そうですか」
まさかお父様にまでそう言っているとは思わなかった。
これで何かが変わるとは思わないが、評価してくれたのは素直に嬉しく思う。
「これでも私とフラムの付き合いは長くてね。彼女が公爵家に来てからというもの、ここまで嬉しそうに言うのは初めて見る。実に愉快だ。その愉快さな出来事に対しての駄賃も含んでいるのだ」
ハインリヒは「ククク……」と嬉しそうに声を漏らしながら、ワイングラスの中にある葡萄酒を揺らす。
「あぁ、それとイヴィルよ。今後生きていく上の助言をやる。謙遜がすぎるのは時に破滅を招く。素直さも時には大事なのだ」
「失礼致しました。それではお言葉に甘えさせて頂きます」
「あぁ、最初からそうしろ」
まるで父親のような優しい表情をしている。
たしかにイヴィルはハインリヒの子ではあるが、ここまで浮かれているハインリヒの姿は初めて見たかもしれない。
「ありがとうございます。それでは、秘密裏にA級指定の遺跡に足を運ぶ許可を頂けないでしょうか?」
近い内に進めようとしていたことがある。
それはダンジョンの攻略だ。
ダンジョンの中でドロップするアイテムを取りつつ、自身の魔法の幅を広げていく。
その二つを同時にこなすにピッタリなところ。
それに……高ランクのダンジョンであれば人は寄り付かない。
訓練するのにピッタリな場所だ。
「A級指定の遺跡か……それは構わないが、さすがに自惚れがすぎるのではなかろうか?」
「ご心配いただきありがとうございます。しかし、自惚れかどうかは行ってみなければ分からないことではないでしょうか?」
「はぁ……分かった。では、こちらで用意する護衛を付けろ。それが条件だ。その条件が飲めないのであれば許可はできない」
「ありがたき幸せ。あぁ、お父様。その護衛ですが……口の堅い者を用意頂けると幸いです。我儘を言って申し訳ありませんが」
「うむ。それくらいなら、問題ない」
ハインリヒは俺のわがままに頷いて頂いた。
「それでは明後日にキングストン領に向かうがいい」
「キングストン領ですか……承知致しました」
一瞬、アリスの顔が過ったけれど関係ない。
俺にはやるべきことがあるのだから。
「アンナ。すまないが明日は身支度を頼む」
「承知致しました! このアンナにお任せ下さい!」
アンナはそう頼もしく言うのであった。
#オリジナルストーリー
ナルト大好き👑🤲
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