テラーノベル
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34話 通電石がただの石になる日
夕方。
リビング。
いつものクリスタルランプが、
ふっと消える。
音もなく。
影だけが増える。
リカは、
ソファの端に座ったまま、
顔を上げる。
机の上。
通電石。
変わらない形。
動かない。
おかあさんは、
台所から歩いてきて、
石を見る。
手に取って、
少しだけ持ち上げる。
軽い。
「ただの石になったわね」
それだけ言う。
ため息もない。
リカは、
立ち上がって、
スイッチを見る。
入れても、
何も起きない。
おかあさんは、
「明日、620に行くわ」
それで終わり。
リカは、
うなずく。
夜。
窓の外は静か。
家の中は、
少し暗い。
それでも、
困らない。
通電石は、
机の端に置かれる。
使われなくなったものの置き場。
ただの石。
でも、
昨日までは、
ちゃんと光っていた。
リカは、
そのことだけを、
覚えている。
明日、
620へ行く。
それだけで、
予定は足りていた。
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