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その後、恵菜は義母とカフェに入り、母親が口出しするのも何だけど、息子は恵菜の事が忘れられないから、復縁して欲しい、と懇願された。
さらに、元姑は、今の恵菜はスマートになり、勇人の妻として相応しいと言い、結婚していた頃、あんなに激太りしていたのに、と、またも悪態をつかれたという。
「元ダンナの母親……恵菜さんの事…………バカにし過ぎだろ……」
「あの家の人たちは、世間体とか体裁……外見を重視するので……」
元夫の実家の近所に住む人から、息子夫婦はどうした、と聞かれた姑は、上手く誤魔化したけど、もう限界だと言った事。
義母が出張ってきたのは息子に頼まれ、以前、恵菜の自宅で待ち伏せしていたのは、姑のアドバイスによるものだった事。
恵菜が元姑に、勇人が不倫していた事を告げると、逆ギレされ、彼女に『うちの息子が不倫するわけがない、不倫していたとしたら、それは恵菜の妻としての努力が足りない、あなたが太っていたせいだ』と抜かす始末。
恵菜の答えは、ただ一つ。
義理の母には、復縁なんてありえない、と答えたそうだ。
「…………元ダンナは、マザコンだったワケか。しかし、親子揃って…………ヤバ過ぎだろ……」
純は、つい普段の口調でバッサリと切り捨てる。
恵菜は淡々としながら、かつての姑とのやり取りを話していたが、純の想像を遥かに超えるキツいものだ。
(そうか……。俺が彼女を介抱する前に義母と会っていて、ひどい事を言われてたんだな……)
純の中で、モヤモヤした原因が分かって、少し安心する。
だが彼女の話は、これだけで終わらなかった。
「それから…………今日…………」
「え? 今日……?」
恵菜は次第に、苦痛に顔を歪ませ始めた。
動揺しているのか、膝の上に置かれた拳が、さらにギュッと握られると、唇が微かに震え、地面の一点を凝視している。
「…………恵菜さん?」
「す…………すみま……せ……ん……」
今日の出来事を思い出したのか、恵菜の瞳は潤み、時々鼻を啜っていた。
「大丈夫か? 無理に話さなくて……いいんだぞ?」
「…………」
彼女は何も言わず、泣くのを堪えながら首を数回、横に振る。
虚ろな瞳の色を映し出した彼女の姿を見て、純は、柔らかくうねる髪を撫でようと手を伸ばし掛けたが、荒々しく自身の前髪を掻き上げた。