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「実は…………半月以上前から、私のスマホに、知らない携帯番号の着信履歴が……毎日のように残ってたんです。無視していたんですが、今日になって…………今度はメッセージアプリに、見知らぬIDからメッセージが届いて…………」
「それは…………誰から?」
「元夫の…………不倫相手でした。携帯の番号も……メッセージアプリのIDも。早瀬から聞き出したようで…………」
「…………その女……何を考えてるんだっ…………!」
感情を捩じ伏せながら何とか答えつつ、純の憤りの炎には、油が少しずつ注がれている状態だった。
夕方、仕事を終えた恵菜は、勇人の不倫相手に、『話がある。近くまで来ているから、今から来てもらっていいか?』と言われ、相手が指定してきたカフェに向かった。
偶然は、場合によっては恐ろしいもので、義母と会った時と同じカフェの店名に、彼女は嫌な予感がしたという。
理穂からの話は、勇人と、もう会わないで欲しい、という内容。
恵菜が痩せた事で、勇人に『やっぱり恵菜を愛しているから、関係を解消したい』と言われた後輩女子は、恵菜が結婚していた頃から今までに、勇人にされている事などを冷静に言い返されると、理穂から罵詈雑言を浴びせられた。
「アンタが離婚してもブタのままだったら! 勇人センパイに別れを告げられる事なんてなかったのに!! アンタが全て悪いのよ!! 全ての元凶はアンタなのよっ!! アンタさえいなければ!! 勇人センパイと……ずっと一緒にいられたのに!! 勇人センパイの奥さんになれたのに!! 勇人センパイの一番になれたのにっ!! って…………言われ……まし……た……」
「…………君は何も悪くないのに…………そんな事まで…………言われたのか……!?」
表情が崩れそうになるのを我慢しながら、涙声で話す恵菜を、純は地を這うような低い声音で言い放った。
ズタズタに心を切り裂かれた恵菜は、泣き喚く不倫相手をカフェに残し、西国分寺の実家へ戻ると、また元夫が家の前で待ち伏せしていた。
彼女は、親友の奈美が『何かあったら、うちに来なよ?』と言ってくれた事を思い出し、メッセージアプリで連絡を取るも、奈美の親戚が亡くなり、豪と一緒に、親戚の自宅へ向かっているところだ、と返信が来たらしい。
どうする事もできなくなった恵菜は、西国分寺の駅に向かい、中央線の上り電車に乗っていたという。