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やがてダリル達は隣街にたどり着いた。ダリルの背中には後ろ手に縛られぐるぐるの簀巻きにされ、耳を目のところに押さえつけられた形で固定されたうさ耳がもごもご言っている。


ここでも何か起きたらしく、街中はあまり活気がない。というより人が少ないのだろうか。


ダリルはギルドに向かう。こういう時の情報収集はここか酒場だろう、と。




「買い取りを頼む」

「え、いや、これは……え?」


買取りのカウンターに置かれた簀巻きのうさ耳。活きのいい魚のようにビッタンビッタン跳ねている。


「何やってんすかー⁉︎ 私は討伐対象でもレア素材でもないっすよー!」


どうにか自力で抜け出したうさ耳はやはり活きがいい。


「ああ、臭いからな」

「ガウッ!」


うさ耳は吠えた。




この街でダリルたちは聖騎士夫婦の悲劇とそこから続いた惨劇、そして謎の生き物が西の方へと移動したことを知る。


その惨劇の内容は死ねない死者のその理由に迫るものだった。


(この街から西の方。それはまともに西であれば連峰を横断するような方角ではあるが行き先はそうではないだろう。連峰の北側は滅んだ村がある。おそらく行くなら南側。それはスウォードの街のあるところで、その手前には森がある。いつかのあの森──)


ダリルは少し前の会話を思い出す。


(だとすればナツの未来視と繋がる)


トレントと不死は出会う。




「先輩。俺たちは一体何をしてるんですかね?」


先端を尖らせた丸太を担いで巨人は疑問を口にする。


「まあ、これってバリケードよね? 何かくるのかしら?」


巨人から先輩と呼ばれたエルフはダリルから頼まれた仕事をこなしながらそう言う。


「それも一つ一つ俺たちの魔力を付与しておけって無理すぎないですか?」


指定されただけの距離をやるとなると中々に骨が折れる。


「ダリルの珍しいお願いよ。後で何してもらおうかしら」


うさ耳を連れてふたりきりで空の旅は嫉妬してしまうが「お前にしか頼めない事なんだ」と言われたらチョロフはノリノリだ。お前にしかと言いながら巨人もダリルから頼まれているが、気づいていない。


「あと半分くらい? 材料も足りるしちょっと疲れたから休憩しよっか!」

「そうですね。あんまりいまから魔力を使うと後のトレーニングに響きますからね」


そう言ってふたりはシートに座りお茶をすする。雲ひとつない空、心地よいポカポカとした陽気。


気づいたら横になってゴロゴロしていたが、一度落ち着くとなかなか動けない。


「いい天気〜。ピクニック日和ね」

「そうですね。ビリーさんとミーナちゃんはいつもの丘でピクニックと言ってましたね」

「あそこは本当に仲いいよねー。ふぁぁ……。ちょっと昼寝でもする?」


もう完全にスイッチがオフになりそうな2人だが、突如として届いた地響きと咆哮に飛び起きる。


「な、なに……あれ?」


そこには形容しがたい森の木々よりも巨大な魔獣が、スウォードの街の方を向いて現れていた。


そして一歩が踏み出される。


「あ、あれ、こっちに向かってないですか?」

「あわわわわ……あんなのどうしろっていうのよーっ!」


さらに一歩。


2人は切れかけていたスイッチを無理やりオンにして怒涛の勢いで作業を再開させた。

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