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電動ノコギリのスイッチが入った。男は僕の胴体めがけてノコギリを落とそうとしている。僕は目をつぶってこう叫んだ。
「少なくとも石田和也はこんな世界望んでなかったよ!」
すると男の手が止まり、驚いた表情を見せた。そして薄ら笑いを浮かべながらこう言った。
「石田和也だと?あの石田和也か?やつは世界を崩壊させた元凶だろ?やつがいなければ今も俺の左手はあっただろうよ。」
僕はその言葉に対してこう返した。
「和也さんは世界中の人の心が豊かになるために感情を持つロボットを開発したんです。そのロボットをみんなが悪用したから暴動が起きたんですよ!」
すると男は怒った表情で僕にこう言った。
「その感じ、おまえ旧式か?おまえが石田和也のことを知るわけがないだろ?旧式の言うことなんて誰が信じるものか。」
男が再び僕にノコギリを下そうとする。僕はこう返した。
「知ってるよ。僕は和也さんが自分の手で作った、最期のロボットだから。」
男はそれを聞いて、ノコギリのスイッチを切った。そして僕に問いかける。
「じゃあおまえに質問だ。石田和也の側近のロボットの名前は?」
僕は驚いた。なぜこの男がそのことを知っている?
「eveです。なぜあなたがそれを知ってるのですか?」
男はノコギリを地面に置いた。そしてこう言った。
「俺は石田和也のロボット研究所で働いていたんだ。開発にも携わっている。」
そして僕の縛っていたものを解いた。そして泣き出した。
「俺のやっていたことは全て八つ当たりさ。分かっていたよ。俺だって石田和也の理念に感動して研究所で働いてた。向こうは俺のことなんて興味無かっただろうけどな。だが俺たちが作った感情を持ったロボットが暴れだしてそのせいで世界は崩壊に向かった。全部俺たちの責任さ。それを忘れようと思っても、俺の無くなった左手を見るたびに思い出して頭が痛くなるんだ。」
そして僕を見てこう言った。
「本当にすまなかった。許してくれ。君が良ければ上で充電をしてシェルターを出でもいい。俺はこの地下室から出ないから心配はしなくていい。」
僕はこう返した。
「充電はさせてもらいます。あなたもこんな地下室から早く出ましょうよ。あなたに聞きたいこともありますから。」