コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕には大好きな彼女がいた。
容姿端麗、明朗快活、
二重にくっきり鼻頭。
僕には無いものを沢山持っている。
そんな自慢の彼女と出会って三年になる。
少しお高めなカフェで待ち合わせをして、
コーヒーを片手に煽りながら待っていた。
今日は喧嘩をしてしまったから
仲直りをしようと奮発して呼んだ。
だがしかし約束の時間を一時間過ぎた。
いつもならすぐ来るはずで
時間などには厳しかった。
私は初めて待った。
その内複雑な気持ちになり
苛立ちが隠せなくなった。
「今日こないの?」「まだなの?」
捲し立てる様に連絡を入れ、
八つ当たりをするように
コーヒーのおかわりを注文した。
結局来なかった。奴は来なかったんだ。
初めてこんなに待たされた。
イライラして言葉が出てこない。
なんなんだ。気持ち悪い。
いつも以上に苛つく、苛つく、苛つく。
「俺お前嫌いだわ、返事もしないで。」
次の日学校で、訃報を、 聞いた。
俺は大丈夫、あんなやつだ。自業自得だ。
当たり前だ。大丈夫だ。
と、自分に言い聞かせた。しかし、
先生に名指しで言われた。
「渡したい物がある。」
これが引っかかって引っかかって
しょうが無い。
まともに授業を受けれなかった。
タイミング的に彼女の遺品だろうとか
色々思考を巡ったが
忘れた宿題 かも知れないし、
警察に 俺が犯人だったと
疑われてるかも知れない
最初は早退しようかと、 とても悩んだが
段々気になり初めて今に至る。
チャイムが鳴って放課後
職員室向かいの部屋で待機する。
そこにはいつも通りの場所なのに、
いつもより辺りが気になった。
歴代校長先生の顔がいつも以上に不気味だ。
先生のドアを開ける音がいつもより
響いてる気がする。
いつもと同じはずなのに。
先生が渡してきた物に涙を隠せなかった。
やるせない。情けない。だらしない。
仕方がない。どうしようも無い。
俺の気持ちは、心は、
一気に曇って、雨を降らした 。
襲いかかる現実に 、
目を背けたくなる現状に、
彼女はもういないという実状に。
何層にも織り成す感情の積乱雲は
複数の雷を落とし、心の静寂を荒野にした。
地球創世期の様な大量の降雨に
ダメージを受けた僕の心情。
私は弱り果てた。
渡されたのは彼女が私への最後プレゼントで
内容は香水だった 。
僕の心に更に雨を降らせる。
その後は記憶が無い。
気づいたら帰宅していて
迷わず睡眠を選択した。。。
最近早めに登校して 机の上の花束に
僕は毎日クラスメイトにバレないように
香水をかけている。
早く花が枯れないかな。と思いながら。
思い出、色褪せ、花曇り。
ぬるい風が
心に吹き続ける。
彼女の香水が鼻に沁みる。
僕の心は今も花は咲いていない。
枯れ果てた荒野が今も拡がっている。