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※遥が「自分が悪い」「気持ち悪い」と思ってしまう理由は、いくつかの心理的・環境的要因が複雑に絡み合っています。
1.家庭環境(原点としての否定)
遥の「自分が悪い」という思考の根本には、家庭での継続的な否定や攻撃があると考えられます。
「お前のせいで家がうまくいかない」
「なんでお前だけそんな顔して生まれてきたの」
「男のくせに気持ち悪い」
といった 人格否定・存在否定を繰り返されて育った場合、遥は「自分が何かをしたからではなく、存在していることそのものが罪」だと誤解したまま成長します。
→ その結果、他人の機嫌や態度が悪いのはすべて“自分のせい”だと思い込む。
2.学校での役割(スケープゴート化)
遥は学校で「いじられ」や「嫌われ」のポジションに無意識に固定され、クラス内の不安や苛立ちの捌け口になっている。
笑われると「自分に何かおかしなところがあるんだ」と感じる。
命令されたり叩かれたりすると、「自分がそうされても仕方ない存在」だと思い込む。
→他人に否定された数だけ、“やっぱり自分が悪いんだ”という確信が強まる。
3.自己感覚の歪み(愛着・境界)
遥は、自分という輪郭が曖昧で、他人の視線や感情を「自分の一部」として取り込んでしまう傾向がある。
「〇〇が嫌な顔をした → 自分が何かしたに違いない」
「あいつが避けた → 俺、やっぱ気持ち悪いんだ」
→ 他人の感情が自分の評価基準になってしまっている。
これは、愛着不全や支配的な親からの刷り込みによって、自我の境界線が曖昧になっている場合によく見られる。
4.反復する“気持ち悪い”の言葉
何度も、周囲から「気持ち悪い」「キモい」「なんかムカつく」と言われ続けていることで、
「気持ち悪い」が名前のように自分に貼り付く
遥自身も、「そう言われるような表情をしてしまう」「息の仕方が悪いのかも」など、自分の存在を分解して責め始める
5.“優しさ”と“傷つきやすさ”の共存
遥は本来、他人の苦しさや小さな変化を敏感に感じ取ってしまうほど優しい。だからこそ、
自分が誰かに不快な思いをさせたという想像だけで、深く傷つく。
「自分が傷ついたこと」よりも「他人を不快にさせたかも」という感情が先にくる。
→ この優しさが、加害者によって“都合よく歪められる”。「お前のせいでこうなった」と言われるたびに、「ごめん」としか返せない。
6.“悪い”というラベルで自分を守っている
これは防衛機制の一種でもあります。
「自分が悪いから仕方ない」と思っていれば、 周囲の攻撃を正当化できる。
「本当は誰も俺を助けない」ことより、「俺が悪いから誰も助けない」と思っている方が耐えられる。
→ つまり「自分が悪い」という考えに逃げ込むことで、絶望を避けている。
「俺が悪いんだろ。……だって、みんなそう言うし。……俺、なんか……普通じゃないんだと思う。顔も、声も、動きも。なにしてても、なんかムカつくって……そう言われるし。……だったら、最初から、俺が悪いことにしといたほうが、……楽だろ」
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