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担任の大橋先生は教壇に立ち、キラキラした笑顔で腕を組んでいた。その雰囲気はまるで生徒たちを遊びに誘う兄貴分のようだ。黒いシャツの袖をまくり上げながら、彼は一言こう言い放った。
「文化祭だ。お前ら、めっちゃ楽しいことしようぜ。」
教室内は一瞬静まり返った後、爆笑の渦に包まれる。
「先生、授業終わらせるつもりですか!」
「大丈夫、大丈夫!こういうノリが大事なんだって。」
大橋先生は生徒たちの笑いを無視してスケジュール表を黒板に貼る。
紅みりんは早速手を挙げて、「軽音やろうよ!私、歌もギターもやるから!」と提案するが、いさなが肩を叩きながら反論する。
「いやいや、俺らのクラスは屋台とかでゆるーくやるのが似合ってるって。お好み焼きとか。」
「お好み焼きか~、いいけど、どうせやるならステージとか派手にやりたいよね!」とみりんが言い返す。二人の意見がぶつかる中、萌香は控えめに手を挙げた。
「私、猫耳カフェとかどうかな…。かわいい感じの。」
その一言で教室がざわつき始めた。「猫耳カフェ」は思いもよらない提案で、特に男子たちの目が輝き始める。
「いいじゃん、それ!先生も猫耳つけますか?」と誰かが冗談を飛ばすと、大橋先生は即答する。
「いっやぁ〜、俺がつけるとイケメンすぎて来場者減るだろ。」
教室中は再び笑いに包まれた。
結局、クラスは「猫耳カフェ」と「軽音ライブ」の二本立てをやることに決定した。
「みんな、それぞれ全力でやるぞ!」と大橋先生が締めると、生徒たちはそれぞれの準備に向けて動き始めた。
紅みりんはさっそくギターを持ち出し、いさなに向かって叫ぶ。
「お前も歌えよ!その無駄にイケボな声、使わないなんてもったいない!」
「俺?いや、マジで無理だし~。」と、いさなは適当にかわそうとするが、みりんは引き下がらない。
一方、萌香は猫耳をつけた自分の姿を鏡で見ながら、「これ、似合うかな…」と小さくつぶやく。いさなが横を通りがかりながら一言。
「うん、意外とアリじゃん。」
その言葉に、萌香の頬が少しだけ赤く染まるのだった。
文化祭準備は、笑いとドタバタの中で進んでいく。新たな友情と少しの恋模様が交差する文化祭が、今まさに幕を開けようとしていた。