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気が付くと、私たちは別の部屋にいた。そこは奇妙な部屋だった。私たちが横たわっていたのはお風呂やプールみたいなタイルの床で、実際部屋の真ん中は浴槽やプールみたいにへこんでいて、少し水がたまっているようだった。違う点といえば私たちがいる所以外にプールサイドにあたるものがないことだ。だから反対側に行こうとしたら、この水のたまったプールの中を移動するしかない。そして反対側には微かにハシゴのような物が見えたが、そこまでは相当距離があるようだ。私がもっとよく見ようと目を凝らしていると……。

「なにこれ!」

誰かの悲鳴が聞こえた。

「服がボロボロになってる!」

えっ、本当だ! いつの間にかみんなの服があちこち破れていた。さっき水に押し流されたときにこうなったんだろうか? でも、服がこんな破れ方をしたら、体の方も無事ではなさそうなものだが、私を含めて誰も怪我をした様子はなかった。

さらに……

「ねえ、あれ見て!」

萌ちゃんがまた何か気づいたらしい。彼女の指差す方を見ると、私たちが移動してきたと思われる穴から、けっこうな量の水が流れ出していた。

「げっ!」

「これ、どうなるんだろう……」

「分んないけど、このまま水が止まらなかったら、水責めみたいになるんじゃないかな?」

みんな不安そうにあたりを見回した。この部屋に窓などはなく、水で満たされてしまったら逃げ場がなさそうだ。幸いかなり大きな部屋なので、水でいっぱいになるまでには時間がかかりそうだが、根本的な解決にはならない。この部屋から逃げ出すには……。

「あの奥にあるハシゴみたいなやつ、あれを登っていけばいいのかな?」

愛梨ちゃんが部屋の奥を指差した。確かに、それ外にはどこにも行けそうになかった。幸い、今の時点ではプールの中の水は浅く、歩いて渡ることが出来そうだった。けれど……

「ねえ、この水の中に何かいる!」

萌ちゃんが叫んだ。プールの水は濁っていて汚かったが、その中に何かがうごめいていた。

「あれ、何?」

瑠美ちゃんが震える声でつぶやいた。私は、その何かの正体を見極めようと目をこらした。

「なんか、長細いね。蛇? それにしては短いような……」

汚い水の中でうねうねとうごめくそれは……

「ミミズじゃない?」

「いやだぁ!」

「気持ち悪い!」

プールの中をうごめくミミズを見て、私たちは悲鳴を上げた。幸い、数はそれほど多くなさそうだ。踏まないようにしよう……。それで気が付いたのだが、私たちはいつのまにか裸足になっていた。最初っからこうだっけ?

それからプールの底に降りると、ミミズを踏まないよう慎重に歩きはじめた。プールの底には泥が溜まっていて足を取られ、思った以上に進むのに時間がかかった。

「なんか、泥の感じが気持ち悪い……」

「ねえ、思ったより遠く感じるね」

愛梨ちゃんの言うように、反対側は確かに見えているのに、どこまで続いているのか分らないような気がしてくる。そのとき……。

「ねえ、あれ!」

突然瑠美ちゃんが叫んで、後ろを指差した。見ると、穴から見る水の量が確実に増していた。

「そういえば、なんだか、足元の水が増えているような……」

私たちがプールの底に降りたとき、ところどころに水たまりが出来ている程度だった。けれどいつのまにか、私たちは水の中を歩いている。まだまだ心配するほどではないけれど、この早さで水が増えると……

「やばい、急いだ方がいいかも!」

続く

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