テラーノベル
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夜の森に雨が降り注ぐ。湿った土と、遠くから漂う腐った海の匂いが混ざり、視界はほとんど遮られていた。
セレン「ゲートは…繋がる?」
クロナ「うん、でも気をつけて。救助隊が来るにも座標がズレているかも」
足元の泥が滑る。雨粒が顔に叩きつけられ、冷たい。
闇の中で、屋敷の窓がわずかに揺れ、影が横切った。
クロナが小さく震える。
「お母さん…誰かいる…?」
その瞬間、館内から甲高い悲鳴が響いた。
セレン「!!!!」
扉を押し開けると、目の前にホテルボーイが立っていた。
その笑顔は、どこか狂気に満ちている。
「いらっしゃいませ…ごゆっくりどうぞ…」
その声が、雨と闇の中で異様に響く。
背後で何かが床を擦る音。振り向くと、赤い影が壁を這う。
セレン「クロナ、離れなさい!」
クロナの小さな手をぎゅっと握り、私の魔法が反射的に炸裂する。
だが、ナイフがクロナの肩に迫る。
セレン「くっ…!」
私は窓を破り、二人で夜の森に飛び出す。
雨に濡れた髪が視界を遮る。
足音が遠くから追いかけてくる。
あのホテルボーイ、いや…何者かが、私たちを追う。
森の奥、沈んだモルディブの島影が見える。
ここは本来2100年には水没しているはずの土地。
だが、今は赤黒い水面に悪霊の気配が漂っている。
セレン「クロナ、しっかり掴まって!」
クロナ「うん…お母さん、怖いよ…」
魔法の光が闇を裂き、ゲートが開く。
私たちは飛び込む。振り返ると、赤い目が森の闇の中で光った。
その瞬間、悲鳴は遠ざかり、雨音だけが残った。
クロナ「ここ、どこ…?」
セレン「…大丈夫、目が覚めたのね。悪霊は追って来られなかった」
だが私の胸の奥には、悪霊の笑い声がまだ残っている。
沈みゆく楽園…そして、この島に眠る死者たちの怨念。
セレン「…クロナ。私は、絶対にあなたを守る」
クロナ「うん、お母さん。私もずっと一緒だよ」
暗い空に雨が降り注ぐ。
悪霊たちの囁きが風に混ざる中、私たちは再びタイムマシーンで旅を続けるのだった。
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