「あ、堂本さんっ、村尾さんがどこにいるか知らないですか?」
通路を足早に歩く中田が放った固有名詞に、びくり、と肩が跳ねる。
「え、あ……総一朗?」
必死に動揺を押し込めて、努めて平静な表情を浮かべた。
「はい、急ぎで捺印いただきたい書類があるんですが……」
「ああ……それなら、たぶん会議室に……」
先程、水戸に呼ばれて席を立ったのを見ていた。
たぶん会議室に行ったのだろうと、立ち去った方向から推測する。
「いいよ、呼んでくる」
立ち上がって会議室に向かった。
ドアの前に立ち、軽く腕を上げる。
ノックをしようとした私の耳に飛び込んで来たのは、彼ではなく、水戸の声だった。
「私……村尾君が好きなの」
身体中の神経が研ぎ澄まされたように、その言葉を鮮明に聞き取った。
ガンガンと打ちつけ********
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