文化祭の熱気が冷め、学校にはまた普段の静けさが戻っていた。だが、そんな平穏もつかの間、生徒たちの頭上に暗雲が立ち込めていた。
定期テスト。
それはまさに、地獄の二文字そのものだった。
教室では、生徒たちがそれぞれの表情を浮かべていた。
いさなは、数学の問題集を握りしめながら苦悶の表情を浮かべている。
「くっそ…なんで2次関数がこんなに分からないんだ!」
隣でノートにさらさらと解答を書いているのはみりんだ。
「いやいや、いさな、問題の基本公式すら覚えてないじゃん。それ、暗記してから解こうよ。」
彼女は冷静そのものだが、わずかに疲れた顔も見せている。
一方、萌香はというと、完全にやる気を失って机に突っ伏していた。
「無理。覚えられない。私、もう終わった気しかしない…」
「萌香、それ昨日も同じこと言ってたけど?」
みりんが笑いながらツッコむ。
そんな中、担任の大橋先生が教室に入ってきた。いつものように飄々とした態度で、手には大量のプリントを持っている。
「さてさて、文化祭で燃え尽きたみんなにこれを配りますよ〜! 定期テストの模擬問題集だ!がんばってねー!」
その瞬間、教室中から悲鳴が上がった。
「ちょっと!先生、これ量多すぎでしょ!」
「模擬問題集ってレベルじゃない!これ、戦争だ!」
しかし、先生はみんなの抗議を全く意に介さずニヤリと笑った。
「文化祭であれだけ楽しんだんだからね。その代償ってやつだよ。じゃ、頑張れ♪」
その日の放課後、三人はカフェで勉強会をすることにした。だが、やはり進まない。
いさな:「もう無理!この問題考えるだけで頭痛くなる!」
萌香:「いさな、私も同じだよ。数学の数字見た瞬間に意識飛びそう。」
みりん:「あーもう、二人とも集中して!じゃなきゃ終わらないよ!」
みりんがどんなに頑張って教えようとしても、いさなと萌香は次々に脱線する。
「みりん、次の休みはどこ行く?」
「やめて、そんな話してたら完全にやる気なくなる!」
そして迎えた定期テスト当日。
「え、えーっと…この問題って何だっけ…公式…公式…!」
いさなはシャーペンを持つ手を震わせながら必死に問題と向き合っていた。
萌香は、すでに諦めたように天井を見上げている。
「次の問題に全てを賭けよう。これは捨てる…」
一方でみりんは、黙々と解答を進めているが、時折小さくつぶやいている。
「この範囲って絶対テストに出るって言ったのに、なんで出ないのよ…!」
放課後、結果が発表されると三人は揃って崩れ落ちた。
「これは…地獄だったね。」
いさなが真っ白になったテスト用紙を見つめてつぶやく。
しかし、みりんはニヤリと笑いながら言った。
「まぁ、いいじゃん。次、もっと頑張ればいいんだから!」
その言葉に、いさなと萌香は力なくうなずいた。次の戦いに備える決意を…少しだけ固めて。
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