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第24話:初めての合同訓練戦
合同訓練施設の香波アリーナは、観客席こそないが、天井から吊られた無数の波感知センサーが常に参加者を追い、床のパネルに色と波形を投影していた。

試合前のアナウンスが流れ、広い円形コートの中央で拓真は呼吸を整える。


黄色の競技服に身を包んだ彼の前には、紅波代表の少女・篝(かがり)が立つ。

真紅のショートボブがライトを反射し、波は燃えるような深紅。

その佇まいは、観ているだけで胸を圧迫するような圧力があった。


「始め!」

審判の合図と同時に、篝の波が爆発する。

赤波の衝撃で床のパネルが瞬時に真紅に染まり、熱を帯びた空気が拓真の頬を撫でた。


——まともに受けたら押し潰される。

拓真はすぐに緑波へ落とし、相手の波を受け流すようにステップを切る。

香波コートの隅に設置された“波障壁発生機”の影に入り込み、壁を背に波を集中させる。


呼吸を整え、心拍を少しずつ上げる。

感情を揺らし、緑から橙、橙から赤へ——短時間だけ力を尖らせる。

「今だ!」

拓真はリングを篝の足元へ滑らせ、赤波の隙間に滑り込ませた。


篝は笑いながら跳び退くが、その瞬間に波を制御しきれず、赤から橙に落ちる。

——見えた。

拓真は橙波を全開にし、捕縛リングに干渉。篝の足が止まる。


「ヒット! 黄波、拓真!」

センサーが反応し、床に大きな黄色の円が浮かび上がった。


試合後、篝は手を差し出した。

「弱波のくせに、面白い戦い方するじゃん」

拓真は少し笑ってその手を握る。

「波の濃さじゃなく、使い方で勝つんです」


その瞬間、陸が観客席から小さく頷くのが見えた。

拓真は胸の奥で、自分の戦い方が少しずつ形になっていくのを感じていた。


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