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「当たり前だろ? 俺にとって、美花は…………大切で愛おしい存在だ」
「……うっ…………嘘……」
「嘘じゃない!」
圭は、大きな瞳を捉えながら答えるが、美花は疑っているのか、目尻をキッと吊り上げた。
「だったら! こんな身体の私でも……圭ちゃんは…………私の事を…………大切で愛おしい存在だって言えるの!?」
(こんな身体の私……だと? こんな……身体の……私……?)
圭は、彼女の放った言葉を朧気に反芻させていると、美花が目の前で、身に付けている服を手早く脱ぎ始めた。
沈黙の部屋に衣擦れの音がやけに響き、彼女の手つきは粗雑だが、怒りと焦燥なのか、震えているような手で自身の服とブラを引き剥がしていく。
ショーツも脱ぎ放ち、散らばった服の上にパサリと落とされると、美花が一糸纏わぬ姿で、圭と向き合った。
「……っ!」
愛おしい女の裸体を目の当たりにした圭は、涼しげな瞳を丸くさせながら息を呑み込んだ。
白皙のスマートな身体に似つかわしくない赤黒い線が、左右の胸の膨らみに刻まれている。
繊麗な左腕は、手首の上から二の腕に掛けて、夥しい数のリストカットの痕跡が重なっていた。
圭は、傷を負った彼女の身体を見て、堪らず顔を背けてしまう。
「私…………ロキタンスキー症候群っていう、先天性の病気で……子どもが産めない身体なんだ……」
「っ……」
美花の言葉に、圭は弾かれたように、彼女に視線を配る。
「病気の事……お母さんや親友以外には言えなかったけど…………初めて彼ができた時、思い切って打ち明けたら…………『お前は、女として不良品だったのか。女の欠陥品が、恋なんてすんじゃねぇよ』って……言われて…………振られたん……だよ……」
美花の表情が次第に歪んでいき、声を掠れさせていく。
「彼に言われた『女の不良品、女の欠陥品』が…………ずっと私の中に……刺さったままで…………夜も眠れなくなった私は…………言葉から逃げるように、リストカットするように……なった……」
感情を抑えつつ、途切れとぎれに言葉を綴っていく美花の姿に、圭はただ見つめる事しかできない。
だが、彼女の話を聞きながら、なぜ美花が左手の手首を執拗に隠そうとしていたのか、理由が判明し、圭の中で散らばっていたパズルのピースが、ピタリとはまっていくのを感じた。
コメント
1件
全てを話して別れるつもりでいるの?あの女の言う事なんて聞かなくて良いんじゃない? きっと圭さんは受け止めてくれると信じてる。
恵