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#追放
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美しい山々、雲ひとつ見えない晴天、そして。
「皮膚や筋肉なしの、骨だけの身体……」
この世界にはモンスターがいる、ランクは1番上から、A〜Fまで。その中で、Fの中でも比較的強いが、Eとつけるには弱すぎるモンスター、そんな微妙なアンデットが、スケルトンである。
攻撃手段は多様で、頭もよく。馬を乗りこなしたり、連携をとったり、はたまた、撤退命令も出すことができる。
だが、肝心なところが抜けている。「肉体」だ。そう、肉体がないので、素手で数発殴られただけで死に至る。数値で表すと、鉄パイプが100だとしたら、スケルトンは120。どれくらいかわかっただろうか。
それが今の俺、ゲメル・レーメストだ。
さて、一体全体、何が起こっているんだぁこれは。とりあえず、こうなるまでの経緯を思い出すしかないよな。
以下記憶内
「おーいゲメルー、遅いぞー」
「すまないなレーファ、今回は荷物が格段に多いんだ。」
こいつは俺の親友、レーファ・メルシー。魔法使いだ、魔法使いと言っても、空は飛ばないし、回復したりしない、魔法で身体能力を強め、ポジションを中距離と近距離を繰り返しながら敵を殴り殺すタイプだ。そして、童貞かつ臆病ナルシストだ、だが人一倍優しい……巻き返せてるのかな。
そうだったそうだった。4人でパーティーを組んで、危険度Cのダンジョンに潜っていたんだ。そこで俺は、ヒーラー兼荷物持ちをやっていたんだった。あれ、俺いじめられて……あ、進んで荷物もってたわ。
「あ、ちょっと地図石出してくれないかの。」
「はいはい、これね。」
こいつはトート・レミィ、タンク兼アタッカーだ。貧乳チビなロリ体型の生意気なおじゃロリ(26)だが、ドワーフの血が入っているだけあって、でかい盾とでかい剣をいとも容易く扱うんだから、本当に驚きだ。
「ケイカイ、ヒツヨウ、テキイル。」
「あぁ、いるな。」
こいつはガバリオ・ダンデンド、エルフだ。……改めて言動だけ見るとほんとに化け物だな、レディーに失礼だけどさ。まあ簡単に言うと、たしか幼少期に人体実験で脳をえぐられたんだ。だが、誰よりも戦略家で、弓を上品に使い、敵を確実に仕留める弓使いだ、そして料理が美味い。
「ぐぼぉぉおおぉお!」
「サーベルドラゴンじゃの、この辺で出るのは珍しいの。」
俺たちは戦闘体型を整え、淡々と作業をこなして行く。そして、深層20階に到達した時だった。
なんとグレートスケルトン・アルケミスト[ランクA]が出てきてしまった。俺たちは呆気なく召喚されたグレートスケルトン[ランクB]にやられてしまった。
以上記憶内
憶測だが、グレートスケルトン・アルケミストは俺たちを有用な素材だと思って、スケルトンと俺たち4人を錬成したはずだ。その証拠に、俺のスキルにはあいつらの持っていた固有スキル達、[身体強化]、[活性化]、[精霊幻覚]が詰め込まれている。
「……涙が、出ないなぁ。」
もう、人の心などないのだから。だが、スカスカの頭の中にあいつらを感じる。俺の中で生きている。「生き残れ、勝ち残ってくれ」と言っている。あいつらは、俺を思って死んで……いや、今はそんなことを考えてちゃ行けないな。
それにしてもここはどこなのだろうか。ここに見覚えは全くと言っていいほどない。あるとしたら、あいつの住処だろう。
まずは自分の情報を確認しておこう。使えるスキルは……さっき言った通りにあいつらの固有スキルと俺の生前のスキル、そして骨再生というおそらくスケルトン専用のスキルだ。
とりあえず、身体強化で奇襲でやられる可能性を減らしながら、何か装備を探そう。流石に冒険者歴=彼女いない歴-17の俺でも素っ裸のスケルトンは見たことがない。
「レーファ……」
真後ろにあった洞窟をしばらく歩いていると、見ただけでわかる、出来れば見たくなかったレーファの鎧を見つけた。身にまといたくはなかったが、纏うことにした。
「暖かいなぁ……もう、温度は感じないはずなのに。」
武器はトートの片手剣……俺からしたら軽めの両手剣と、ガバリオの弓を装備した。
と、そこで急に視界の隅に影が見えた、急いで目を向けると、ビッグ・モスキートだった。
「うわキモっ!」
俺は距離をとり、相手を分析したところ、俺のレベルが2、あいつのレベルが10。レベル差が倒せるか微妙なくらいあった。あいつらのスキルが使いこなせるかは分からないが、強くなるためにも、慎重に殺すしかないな。
「まずは精霊幻覚で錯乱させる!」
あいつは幻覚に一瞬気を取られて、その僅かな隙に俺は活性化し、重い斬撃を叩き込んだ。ビッグ・モスキートは呆気なく倒れ、俺に膨大な経験値が入る。
「レベルアップ、レベルが5になりました。スキル[戦友骨召喚]を入手」
「え、なにそれ。」
聞いた事無さすぎて声が出てしまった、説明は以下の通りだ。
このスキルは発動すると、自分の死んだ戦友を一体だけ呼び出し、5分間行動をさせることができる。また、召喚した戦友とは、記憶を共有、念話で話すことができる。
クールダウン:10分
……ほぉ。つまりは、あいつらと話せるかもしれない。だが、それはあいつらが死んだことを意味する。喜願と悲願がぐちゃぐちゃだ。
とりあえずレーファを召喚してみると、地面に魔法陣が出てきて、白骨化したレーファが出てきた。
「……ん……うわ?!スケルトン?!」
「落ち着けレーファ、俺だ。ていうか、お前もだ。」
レーファは自分を見て、混乱している。少々手荒だが、記憶を流し込むしかないだろう。レーファは頭を抱え、痛がっている。だが、同時に何かを察した顔をしている。
「なるほどな、俺は死んだのか。んで、お前に呼ばれた、と。」
流石俺の友人、理解力が半端ない。リーファには、色々と実験させてもらった。スキルは使えるのか、レベルはどうなのか、念話はどこまで届くかetc……
そうこうしていると、5分がたってしまった。次に会えるのは10分後だ、だが十分だ。またあいつらと話せる可能性が出てきた。
元の体に戻るために、あいつらを戻すために……また、笑い合うために。
そのためにも、俺は。
「ただの屍では居られない!」
第1話[ただの屍を超えて] fin