ふわっとした茶髪が期待の目を向けてくる。それだけで何を言われるか大体わかってしまう。そんな俺がおかしいのか彼女が分かりやすいのか。
「今日は一緒に帰れる?」
あぁ。想像通り。だから答えるのにも時間などいらない。
「ちょっと委員会の仕事あるわ…すまん。」
少し下に流れる茶髪。それが上がればきっと明日についても聞き出すことだろう。
髪が上がり目が再び現れる。最初と同じような目。あぁ明日の予定はどうだっけ……
「私のこと好き?」
「……え?」
なんで?そんな明るい目でそんなこと聞ける?嫌いって言ったらどうするんだ?
「…ふふっ。」
わ……笑った?こんなにも困惑して言い惑っていて。嫌いと言われる可能性を考えるんじゃないのか?
そんな俺と視線を交差させた瞬間笑いは止み、彼女は口を開いた。
「あ…ごめんね?あまり困惑してるの見たことなかったから…いつも分かりきった顔してすぐ模範的な解答しちゃうじゃん…。」
…そうか。俺は分かった気になって分かっていなかった。そしてそんな不思議で眩しい彼女に俺は…
「…好きだよ。」
「ふぇ?」
「だーかーら!俺はお前が好きだ!……だから」
まさか俺から言わされるとは思ってなかった。簡単に想像を超えてくる。でも…そんなところが。ありきたりじゃないところが。
「付き合って下さい。」
俺を惚れさせてしまったのだから。
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