テラーノベル
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翌朝、詩帆は鳥の鳴き声で目覚めた。
(そうだ、私はキャンプに来ていたんだわ)
詩帆そう思い出して隣を見る。しかしそこには涼平の姿はなかった。
テントの外で人の気配がする。きっと先に起きて火を起こしてくれているのだろう。
気付くとテント内はストーブでほんのりと暖かかった。
その時詩帆は何かいつもと違う感覚を覚える。指先に違和感のようなものを感じた。
気になった詩帆は寝袋の中から手を引き抜くと目の前に持ってきてみる。その瞬間思わず声を上げた。
「どうしてっ?」
その時なぜ詩帆が声を上げたかというと、詩帆の左手の薬指にあの指輪がはまっていたからだ。
あの指輪とは昨日伊東で一目惚れしたが買うのを諦めたシルバーの指輪だ。
(どうしてあの指輪が)
そこで考えられる事はただ一つだった。涼平が買っておいてくれたのだろう。
詩帆があの指輪を見ている事に気付いて買ってくれたのだ。
次の瞬間詩帆は飛び起きるとテントから顔を出した。
そこで涼平が声をかける。
「おはよう!」
涼平の眩し過ぎる笑顔を見て詩帆はドキッとした。
しかしすぐに「おはよう」と返してから涼平に聞いた。
「この指輪……」
「ああそれ? 詩帆がお気に入りのやつだろう?」
涼平は笑顔でいうと、
「ありがとう! 嬉しい!」
詩帆は満面の笑みで言うと、テントを飛び出してから涼平に思い切り抱き着いた。
そのあまりにも大胆な行為に涼平は嬉しそうだ。
「詩帆は意外とスキンシップ好きなんだな」
涼平はニンマリと笑うと詩帆をギュッと抱き締めたので詩帆も真っ赤になりながら必死にしがみついた。
すると涼平が優しく聞いた。
「痛む所はない?」
「この指輪を見て胸がキュンと痛んでいます」
詩帆が冗談めかして笑いながら言うと、それならもっと痛ませてやろうと言い涼平は詩帆をさらに強く抱き締めながら詩帆の顔にキスの雨を降らせた。
昨夜涼平と触れ合って以来詩帆は涼平に触れる事が大好きになっていた。
涼平に触れているとなんとも言えない安心感に包まれる。そして自分はこんなにも人肌を欲していたのかと感じる。
涼平に愛されてからその事を初めて知った。
今はとにかく涼平に触れていたい。繋がっていたい。そんな自分の変化に詩帆自身が一番驚いていた。
詩帆が顔を洗って身支度を終えると時刻は朝8時半になっていた。秋の山間のキャンプ地は朝の冷え込みが結構厳しい。
涼平はガスストーブを詩帆の足元に置いてくれた。
目の前の焚火は安定して燃え盛り詩帆の身体をぽかぽかと暖めてくれた。
朝食は手際よく涼平が作ってくれた。網にパンを載せて焼きベーコンエッグとコーヒーを用意してくれる。
自然の中で食べる朝食は格別に美味しかった。
コーヒーを飲みながら詩帆は昨夜の涼平の優しさと男らしさの両方を思い返していた。そして思わず頬を染める。
そんな詩帆に涼平が言った。
「俺はもう詩帆にぞっこんだ! 俺の愛はしつこいからな。詩帆、覚悟しろよ」
涼平がそう言って笑うと詩帆も続けて言う。
「私も涼平にぞっこんかも」
まさか詩帆がそんな事を言ってくれると思ってもいなかった涼平は思わず耳を疑う。
それから必死で懇願した。
「詩帆ちゃん、今のもう一度言ってー!」
涼平が騒ぎ始めたので詩帆はクスクスと笑った。
空には澄み切った青空が広がっていた。
山の冷たい新鮮な空気は、やがて優しい風となり木々の枝を揺らす。
赤く色づいた葉がひらひらと舞い落ちるキャンプ場には、二人の笑い声がいつまでも響いていた。
コメント
2件
詩帆ちゃんが気になっていた指輪💍に気づいていて購入して愛し合った後に指にはめるなんて、超サプライズ😮💍✨💘 これは〜胸がキュンキュン🫰だよねー😊👍🌷 身も心も本当の恋人になれた朝だね☀️😘🩷 涼平さんも寒い朝にストーブを温めたり美味しそうな朝食🍞☕️を準備してくれるなんて✨ 詩帆ちゃんも嬉しいね😊ステキなダンナさんになれそう〜🩷❤️
愛し合った次の日の朝、いつの間にか薬箱にはめられていた指輪に驚き❣️嬉しそうな詩帆ちゃん....✨💍✨💕 心も身体も繋がって、本当の意味での恋人同士になれましたね~💏♥️ 肌寒いキャンプ場の朝だけれど、二人の心は熱々&ポッカポカ⁉️♥️♥️♥️🤭 朝のキャンプ飯も美味しそぅ~😋💕💕