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シャケ握り
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#日常組
れいみ&るるあ@超不定期投稿
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「戌亥さーん、今何時ですかー!」
「さっき聞かれた時から二分しか経ってませんよ〜」
ぐうぐうとなり続けるお腹の音が、ひどく煩わしい。お腹と背中がくっつきそうとは、こういう時に使うのかと顔を上げれば、相手に先を越されてしまった。
そりゃそうか、相手の方は知識は上なのだから、と、自分はまた机に突っ伏した。
「……で、今何時ですか?」
「…………さっき聞いた時から一分も経ってませんよ」
「つまり十二時五分ですか」
「わかってるならなんで聞いたんすか?!」
あれこれと会話した後、ふと思い返す。
空腹とは、こんなにも辛いものだったのかと。なり続けるお腹は煩わしい。我慢できない自分が情けない。お腹が空くだけでこんなにも動けなくなる。そう事実を知ると、涙が出てきそうになる。
────時々、自分はなんて幸せ者なのだろうと思う。
「……戌亥さんって、餓死した人の気持ち考えたことあります?」
「え?」
なんの事情も知らない相手を巻き込んでしまう自分はひどく情けないが、話し相手が欲しかったのだ。
自分がこんなことになっていることを。友達でも、友達じゃなくても、誰か話を聞いてくれる人に。
「お腹と背中がくっつきそうなのに、笑顔で我慢できますか? もう何日も食べてないのに、動いてられますか? もし自分が母親だとしたら、子のためにご飯を譲れますか?」
ありえないほどの質問攻めだということは分かっていた。
けれど、それでも意見が欲しかった。 答えでなくても、正解でなくても、ありえない回答でも、なんでも。
「うーん……」
考え込む相手は、唸った後にこう言った。
「すごく簡単に、誰でもしちゃうんじゃない?」
「え」
思いもよらない回答でもいいと思っていたのはそうだ。けれど、あまりにも斜め上だと思った。
誰でもできるなんて、それは本当なのだろうか。誰でも、我慢できたのだろうか。
「……もちろん、俺だってできます。これでも自衛隊ですよ。鍛えられましたからね」
「────じゃあ」
いたずらの質問に、この人は答えてくれるだろうか。
いたずらだとわかりやすい質問は、この人はよく適当にかわす。うざったらしいけれど、時々上手いなと思ってしまう。
「もし四人分の食料がなくて、三人分しかとれなかったらどうしますか……」
でも、僕は答えてほしい。いつものお遊びの質問じゃない、いい性格をしたいたずらの質問に。
「────きっと俺は、少なくても均等に分けます。……でも、もし他三人が辛そうであれば、自分は自衛隊だったんで少しくらいは我慢しますかね」
────やはり、少し似ている。
君は、餓死した旧友に似ているよ。
「……そう、ですよね」
「守さんって」
間髪入れずに、彼はこちらを真剣な目で見ている。どうしたものかと思えば、相手は
「あついの苦手でしたよね?」
「……え、あ……ま、まあ……」
あまりにも軽い質問を僕にしてきた。
さっきの話となんの関係もない質問だが、実際はそうなので頷いておく。
「……守さんって、テレビの”前世の記憶を保持した人の話”って、信じるタイプですか?」
前世の話かあ、と少し考えふけろうとした。
けれど、僕にはそうすることとは程遠い存在だな、と思い、即答した。
「信じますよ」
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