テラーノベル
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昼休み、担任が教室の前に立った。
「今日のホームルームは、最近の“問題行動”について話し合います」
その一言で、俺の名前が出るのは決まっていた。
机に肘をつきながら、クラスメイトたちは面白がるような顔でこっちを見てくる。
「ほら、主役きた」
「説明しろよ、男のクセにさぁ」
女子の声も混ざる。嘲笑と好奇心が一つの塊になって押し寄せてくる。
担任は表向き公平そうな声で言った。
「ここで、本人からも話を聞いてみよう」
俺が否定しようと口を開く前に、後ろの席から声が飛んだ。
「どうせ演技だろ」
「金もらってやったんじゃね?」
笑いが広がる。俺の声は、笑い声の中に飲まれて消えた。
「ねぇ、本当は好きだったんでしょ?」
女子がわざとらしい笑顔で言い、周囲が「うわ〜」と騒ぐ。
「そういう趣味の人なんだよ、もう認めろよ」
別の男子が机を叩く。担任は止めもしない。
むしろ「そういう言葉はやめような」と形だけ言って、議論を続けさせた。
机の下で拳を握る。爪が手のひらに食い込む。
でも、その痛みさえ俺を守るものにはならない。
視線は俺を突き刺し、笑い声は途切れない。
俺が否定すればするほど、「図星だから反応してる」と決めつけられていく。
「こういうことが二度と起きないように、クラス全体で意識しましょう」
担任の締めの言葉で、結局俺だけが“原因”にされた。
終了のチャイムが鳴っても、みんなの視線はまだ俺に刺さっていた。
この瞬間、俺はもう、ただの同級生じゃない。
“見世物”として、この教室に固定された。
否定も、抗議も、謝罪も、何ひとつ通じない。
ここでは、俺の存在自体が、笑うための道具になっている。
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