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🔪スライスされていく自我
暗い部屋。
カーテンが閉じられ、時計は止まり、
唯一動くのは――ミレイの手元だけ。
自分の顔を何層にもスライスしている。
鏡の前に並んだ**“顔のシート”**は全部、自分の顔だった。
いや――「誰かの顔」だった。
「誰の顔だったか、もう……わからない。」
ワンピースは赤茶けた血で染まり、
指先は細かく切り裂かれて赤いマニキュアのよう。
その顔は、
“高校生”でも“社交家”でも“母親”でもない、
**「誰でもないミレイ」**になっていた。
🔪スケアリーの実況「人格スライスの自我カルパッチョ」
「っひゃひゃひゃひゃひゃひゃああああ!!!!!!」
スケアリーが回転する天井ファンに乗って旋回しながら絶叫する。
「これよこれよこれよこれよ!!!
**“自我”をスライスして!並べて!食べ比べ!!!!」」
「この皿、味が違うんじゃない!!!
**“全部、自分の味がしない”んだよ!!!!」
「こんなカルパッチョ、
**素材が“誰かだったことの記憶”で出来てんだよぉおお!!!!」
🔪ユリウスの到着
ユリウスが部屋の前に立つ。
ドアノブに触れた瞬間、
まるで“皮膚の温度”を感じるような粘着感があった。
「……もうギリギリだな。
人格が、“最後の顔”に乗っ取られる前に――」
扉を開けると、
部屋中に顔の皮が貼りつけられていた。
まるで**“冷蔵庫の内壁に張られた肉片”**のように。
🔪ミレイの最終形態
鏡の前。
ミレイは**“三重の顔”を同時に貼りつけていた。**
表層は少女の笑顔。
その下に社交家の目尻。
さらに奥に、教師の無表情な口元。
「これが“私”。
“誰かたち”が、私の中で仲良くしてる。」
「“私”っていう素材はもう腐ったけど――
他の人たちが、今日も私の顔をして笑ってくれる。」
🔪スケアリーの食レポ「自我混在の三層カルパッチョ」
「ブハァアアアアア!!!!!」
スケアリーが冷蔵庫の中でスライス機を回しながら呻く。
「これは……!!!!
**“誰かになりたかった者の、最終料理!!!!”」
「素材がミレイじゃないの!!!!
**“他人の味だけで構成された人格盛り合わせ”!!!!」
「しかも味のバランス最悪!!!!
酸味!!苦味!!無味!!全部混ざってるのに!!!
**なぜか成立してるのが“怖すぎて美味い!!!!!!”」」
🔪ラスト:誰かの声で名乗る
ユリウスが名を呼ぶ。
「ミレイ――」
だが、彼女は笑って答える。
「ちがうよ? 私は……**“アユミ”**って名前だったの。
忘れたの?
私たち、前に会ったよね?」
“アユミ”という名は、ミレイが初めて盗んだ顔の少女。
それは、
“自分を捨てて最初に他人になった瞬間”――
彼女の“原点の味”だった。
次回 → 第三十七話「無音の絶叫、沈黙のアリア」