テラーノベル
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ドアが開いた瞬間、まるで映画のワンシーンだった。
広いホール、シャンデリア、着飾った人たち───そして注目される視線。
💙 (うわ、めっちゃ見られてるっ……)
慣れているラウールと違って、思わず視線を落とす。
ドレスの裾を掴んで、つま先だけで歩くみたいになってしまう。
🤍「ちょっと、緊張しすぎ。背筋ピンってして」
💙「む、無理っ……!」
視線が集まるのは苦手なのに、今日は誰よりも目立ってる気がする。
💙 (やっぱ、女装変なんじゃ…)
怖くて、足が止まりそうになる。
体の奥がゾワゾワして、喉がカラカラだ。
──気づいたら、俺は隣のラウールの腕にぎゅって掴んでた。
💙「あ…っごめ、つい……」
恥ずかしくなって顔を伏せると、ラウールが小さく笑った。
︎🤍「安心して。翔子ちゃんは、誰よりも綺麗だよ」
耳元で囁かれて、心臓が跳ねた。
💙(な、なんだよこの余裕…)
──と、そのとき
「よっ、ラウール」
その声に振り向くと、
SnowManの阿部亮平と佐久間大介がいた。
💙 (最悪……)
阿部さんとは、一度会ってるし、名前も覚えられているから、気をつけないといけない1人だ。
︎🤍「あ!阿部ちゃんと佐久間くんじゃん」
💚「まだ俺ら二人だけだけど、他のみんなも遅れて来るって」
🩷「…ってか、そっちの子は?」
💙 (うわ…っ…無理、逃げたい…!)
思わずドレスの裾を握る手に力が入る。
その瞬間、ラウールが俺の腰をそっと手を添え、にっこり笑った。
︎🤍「翔子ちゃん。隣の雨宮学園に通ってる子。今日は俺のパートナーで来てもらったんだ」
💙 (ひ、ひぃいいい〜!!)
その場から消えたい気持ちを押し殺しながら、頑張ってお辞儀する。
💙「しょ、翔子です…」
高めの声で挨拶すると、阿部さんが優しく笑った。
💚「可愛らしい子だね。ラウール、タイプ?」
💙 (なっ……)
︎🤍「どうだろね?」
ラウールはさらっと笑って言う。
︎︎🤍「じゃあ、行くとこあるから、また後で。他のみんな来たら教えてね」
🩷「了解、翔子ちゃんもまたね」
💙「あはは、また……」
︎🤍「じゃあ、行こっか」
︎🤍「ごめん、ちょっと挨拶してくるから、あそこでスイーツとか食べて待ってて」
💙 「え?」
ラウールは俺の手を引いて、豪華なスイーツテーブルの前まで連れてきた。
見たこともないような綺麗なケーキやカラフルなグラスデザートがずらり。
💙「え、ちょ……お、おい…」
︎🤍「すぐ戻るよ。動かないでね」
にこっと笑うと、彼はすっと人混みに紛れていった。
💙 (まじか…置いてかれた……)
会場の雰囲気、キラキラしすぎてて、ちょっと息が詰まる。
何気なくスイーツに手を伸ばそうとした、
その時──
男モブ「君、ひとり?ラウールくんの付き添いだった子だよね?」
振り返ると、スーツ姿の大人が俺の目の前に立っていた。
優しそうな顔に見えるけど、距離が妙に近い。
手首を掴まりそうになって、思わず後ずさる。
💙「いえ、すみません…」
男モブ「あれ、照れてるの?かわいいね」
急に手首を軽く掴まれる。
💙 「や、やだ…」
💙 (ひぃい、きもいきもいきもいきもい)
男モブ「大丈夫、怖くないからね。ちょっと、あっちで──」
すると、誰かが男の手を振り払って、俺の体を引き寄せた。
💙「っ…?!」
??「嫌がってるの、わかんないんですか?」
低く、静かな声が響いた。
見上げると、そこにいたのは──阿部さんだった。
💚「未成年に手を出すとか、アウトですよ」
男モブ「……っ、失礼」
男は舌打ちをしながら立ち去っていった。
俺はほっとして、阿部さんに頭を下げた。
💙「あ、あの、ありがとうございます…!」
💚「うんん、大丈夫だった?怖かったでしょ」
💙 (…やっぱこの人、優しい)
🩷「あれ、阿部ちゃんと翔子ちゃんじゃん、どうしたの?」
明るい声が響き、振り向くと佐久間大介がいた。
💚「翔子さんが、声かけられてたからさ。ちょっと助けに入ったんだよね」
🩷「えー!怖!大丈夫だった?ていうか、さっき会った時も思ったんだけど、翔子ちゃん、めっちゃかわいい顔してるから、気をつけないとだね」
にこにこと話しかけてくる佐久間大介の距離が……近い!
その時──
︎🤍「翔子ちゃん」
低く落ち着いた声。ラウールが戻ってきた。
︎🤍「大丈夫?何かされた?」
俺の前にすっと立って、心配そうに顔を覗き込んでくる。
💙「急に声かけられたとこを、阿部さんが助けてくれて…」
︎🤍「そうだったんだ、阿部ちゃんありがとう」
💚「うん、困ってる子見たら、助けたくなるからね」
阿部さんは穏やかな笑みで頷いた。
🩷「はい!逮捕〜」
💚「なんでだよ」
🩷「にゃはっ、てか、女の子を1人で待たせるのは良くないよ〜。こんなかわいいパートナーに何かあったら洒落にならないでしょ」
︎🤍「はいっ…ごめんね」
💚「うん、じゃあ俺たちはこれで」
💙「あ、ありがとうございました…」
🩷「またね〜」
阿部さんと佐久間大介は一緒にその場去っていった。
ラウールがふぅっとため息をついて、俺の肩にそっと手を置く。
︎🤍「男にナンパされそうになってたとか、
ははっ……さすがだね」
💙「お前なぁ……!」
思わず睨みそうになって、ぐっと堪える。
💙「お前がどっか行くから、変なやつに声かけられるわ、さっきの二人に会うわで……怖かったんだからな」
︎🤍「そっか、そりゃ悪かったね」
ラウールはクスッと笑って、ちょっとだけ楽しそうに俺の顔を見てきた。
💙 (なにそれ、なんかムカつく……)
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コメント
4件
女装最高よな