テラーノベル
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それから四人が乗った船は沖を目指して出航した。
健吾は船が動き出すとすぐに理紗子の腰に手を回して救命胴衣を着けてくれた。
その後健吾は何か小さなカメラのようなものを胸の辺りに装着する。
それを見た理紗子は聞いた。
「それはカメラですか?」
「うん。釣りの様子を動画用に撮っておこうと思って。手が空いたらスマホでも撮影するから君も映っちゃうかもしれないな。
動画をアップする際は顔にモザイクをかけるけれど、もし動画に出たくなければ君の動画は全てカットするけどどうする?」
そう聞かれた理紗子は、健吾は恋人と石垣島に行ったとあえてアピールしたいのではと思った。
女性と旅行に行ったと動画で匂わせれば、女達を追い払うのにはもってこいの戦法だ。
だったら受け入れてあげた方が彼の為だろう。
それに動画をアップする際は顔を隠してくれると言っている。
そこで理紗子は受け入れる事にする。
「大丈夫です」
と答えた。
自分一人だと体験出来ないような事がいっぱい体験出来るのだ。
それも無料で。
(そのくらいお安い御用よ!)
理紗子はニッコリしながら海を眺めた。
やがて船は、ヨシが選んだ釣りスポットへ着いた。
エンジンを切り船を止めるといよいよ釣り開始だ。
そこで美也子が理紗子にルアーのついた釣竿を渡した。
「ここではルアーを使って釣りをします。あ、ルアーって言うのは疑似餌の事でこれです」
美也子が触っているのはプラスチックで出来た魚の形に針がついたものだ。大きさは理紗子の手のひらの長さよりも大きかっ
た。こんな大きな疑似餌で一体何を釣るのだろうか?
次に美也子は、ロッドのキャスティングのやり方を教えてくれる。
理紗子は学生時代テニスや球技の経験があったので、腕の力には自信がある。
美也子が投げ方を丁寧に教えると、理紗子はすぐにコツを掴み真っ直ぐキャストできるようになった。
あとは飛距離がどのくらい伸ばせるかだ。
(釣りって気持ち悪い餌を使うものだと思っていたけれど、これなら手も汚れなくて楽ね)
理紗子はこの時、釣りには色々な種類がある事を知った。
そしていよいよ理紗子は初釣りに挑戦する。
記念すべき一投目は、見事にまっすぐ飛んで行った。
美也子が、
「その調子です! 理紗子さん上手!」
と褒めてくれたので、理紗子は俄然やる気が出る。
釣りを始めた理紗子の様子を、船首にいた健吾がチラッと見る。
理紗子が楽しそうにキャスティングを繰り返しているのを見て、健吾は嬉しそうだった。
その時、健吾の前方100メートルでベイトが暴れ始めた。大きなナブラの発生だ。
海面は激しく波立ちしぶきが飛び散っているのが見える。
上空からは海鳥達が獲物を捕らえようと、海面めがけて急降下を始めた。
船長のヨシは素早くエンジンをかけると、船をナブラの方へ移動させる。
「健吾さんチャンスです!」
「おうっ!」
理紗子は船が急に動いたので驚いて男性二人を見る。
その時、健吾が見事なキャスティングで遠方までルアーを飛ばしたのが見えた。
健吾のルアーが落ちた海面付近では激しい水しぶきが立っている。
「あれは?」
理紗子が美也子に聞くと、
「あれは『ナブラ』と言って、ベイト…….小魚が飛び跳ねているんです。大型魚に追われた小魚の群れがパニックになって、
暴れるからしぶきが立つんですよ。上空からは鳥達も小魚を狙っているでしょう? ああいう場所はチャンスなんです。もしか
したらGTが釣れるかも!」
「GT?」
「ロウニンアジの事です。1メートル超えとかが普通にいるかなりサイズが大きい魚なの。健吾さんはいつもそれ狙いなんです
よ」
美也子は微笑んで言った。
「1メートル?」
理紗子は驚きすぎて思わず叫んでしまった。
そんな理紗子の反応に美也子がフフッと笑う。
「理紗子さんもあちら側に行って投げてみて下さい。ナブラにルアーを落とし込むと、釣れる確率が高いですから」
美也子にそう言われた理紗子は、急に身体の奥から今までに感じた事がない闘争心のようなものが湧きあがってくるのを感じて
いた。これが人間のDNAに組み込まれた狩猟本能なのだろうか?
理紗子は気持ちを奮い立たせながら健吾の横へ行くと、なるべく遠くへ飛ぶようにキャスティングを開始した。
隣に来た理紗子を見て、健吾が言った。
「投げたらこうやって誘うんだ。グイーッ、グイーッと水面を小魚が逃げているように動かしてやると、GTが闘争本能をむき
出しにして食らいついてくるから。ルアーフィッシングは魚と人間の騙し合いみたいなもんだ。いかに相手を騙せるかがポイン
トだぞ」
健吾はそう言ってニヤッと笑う。
理紗子は健吾がこんなに生き生きとした表情をしているのを初めて見た。
その無邪気な笑顔に思わず引き込まれそうになる。健吾は本当に釣りが好きなのだ。
(魚と人間の騙し合い)
理紗子はそれを頭の中で繰り返すと、隣にいる健吾の動きを真似するようにロッドを小刻みに動かした。
飛距離は健吾には及ばないが、動かし方なら真似出来る。
(もしこのプラスチックの疑似餌で大きな魚が連れたら凄いわ!)
理紗子はなんとしてでも釣りたいと思った。
そして、キャスティングを何度も繰り返す。
その時、健吾に当たりが来た。
「くっ!」
そのあまりにも強い引きに健吾は顔を歪める。
相当大きい獲物が健吾の疑似餌に食らいついたようだ。
健吾は一度ロッドとグイッと上に引き上げてから魚の口に釣り針を食い込ませる。
それから少しずつリールを巻き始めた。
糸を切られないように慎重に、かつ、相手が油断して力を弱めた隙に素早く巻き上げる。
その作業を10分程続けると、漸く海面に魚影が見えてきた。
「健吾さん、かなりデカいですよ。やりましたね!」
ヨシはそう叫ぶと、網を持って健吾の脇で待機する。
そして獲物が海面に姿を表すと、すかさずその獲物をすくい上げた。
その魚を見た理紗子はびっくりした。
(デカッ! なんて大きな魚なの! ロウニンアジって言うからてっきり普通の鯵みたいな魚かと思ってたわ)
健吾が釣ったGTは、サイズは140センチで重さは30キロ近かった。
「……….!」
理紗子はその数字の大きさに驚き過ぎて言葉を失った。
#歌詞
結愛
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コメント
3件
生き生きした表情で釣りを楽しむ健吾さんにドキッとする理紗子ちゃん....♥️ 健吾さんんも、夢中でキャスティングする理紗子を見て 嬉しそう♥️ お互い いつもと違う表情にドキドキしちゃうね~😍💓
理沙ちゃんの狩猟本能にも飛び火して大物が釣れるかも⁉️🐟🐟🐟 同じ趣味で理沙ちゃんが本気で🎣をする姿に健吾もドキドキでメロメロ😍になりそう❤️🔥
好奇心旺盛の理紗子ちゃんにメロメロかな😍きっと日焼けも気にしてないね☀️ あっでも旺盛すぎで…の時もあるけど…💦でも健吾がいるからもう大丈夫だね😉✨🩷