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「やあ!キヨシ!なんだか、ご立腹のようだね?夫婦喧嘩は犬も食わないだっけ?でも、ここ、犬いないからなぁ、この場合は、どうなるんだろう?」
悩ましいねぇなどと言いながら、ハリソンが、飄々と、縁側に面する中庭に現れた。
「なっ!ハリソン!なんで?!」
不意打ちを食らったと金原は、驚きを隠せない。
「あー、玄関へ回れ、ですよねー。でも、靴脱がなきゃいけないし、大きな声が聞こえたからさぁ、こっちに来た方がはやいかなぁーと思ってねぇ」
ハリソンは、言い訳がましく中庭へ入り込んだ理由を説明した。
「まあまあ、ハリソンさん、立ち話もなんですから、こちらへどうぞ」
お浜が縁側を勧める。
「じゃ、失礼して」
言うと、ハリソンは、金原と櫻子の間に、あえて割り込むかのように腰を下ろし、櫻子が持って来ていた、茶を飲んだ。
「ハリソン!それは、俺のだぞ!」
「いいじゃないか。喉が乾いていたし、それに、君たち、喧嘩してたわけだろ?どのみち、キヨシ、君は飲まないんだから」
「喧嘩なんか、していない!!これから、飲もうとしていたのを、お前が!!」
「まっ、この日本茶は、誰かに飲まれる運命であった。それを、全うしたんだ、文句言いなさんな」
食ってかかる金原を、ハリソンは、訳のわからぬ理由でいなした。
「で!何にしに来た!」
「……つれないねぇ……顔を見に来てもいいだろう?」
苛立つ金原へ、少し遠慮ぎみに言うハリソンの姿を見た櫻子は、ドキリとした。
もしかしたら、ひょっとしたら、この二人は……。親子かもしれない。
しかし、仕事上の気ままな関係でいたいのか、はたまた、そうゆう関係でいないといけないのか、二人は、いつも通りに軽口を叩いている。
金原も、ハリソンも、恐らく、自分達の、本来の関係に気付いているはずだ。それでいて、互いにそしらぬ顔をしている……。
何も触れない方が良いのだろう。そう、分かってはいるが、櫻子は、居心地が悪くて仕方なかった。
「あらまっ、奥さま、お顔がひきつっておりますよ?そんなに、派手にキヨシとやらかしたのかい?」
ハリソンが、櫻子を心配している。
「い、いえ、そんなことは……」
いきなり、声をかけられて、櫻子は、余計におろおろした。
「あら、図星?というかですねぇ、もしかして!その子が原因とかっ?!キヨシ!!ばれるなら、やりなさんなっ!!お浜さん、この子、そーゆーことなのね!!」
ハリソンは、お玉を見ながら、フムフムと頷いていた。
「へ?!」
振られたお浜は、ポカンとするが、すぐに、意図を理解したのか、意味ありげに口角を上げる。
1,983
#宵待ち亭
#夢
「そーなんですよ!ハリソンさん!ちょいと、聞いてくださいなっ!!キヨシの奴はねっ!!」
うんうん、聞く聞くと、ハリソンの瞳は爛々と輝いている。
「ちょっと!龍!待ちなさいよ!話は終わってないわよっ!!」
神宮建造の現場にいるはずの龍が血相を変えて駆け込んできた。その後を、珠子が、キイキイ騒ぎながら、追っかけて来る。
「……また、騒がしいのが集まりやがって……」
一気に、騒然となった中庭の風景に、金原は、ゲンナリしつつ、うるせぇぞ、と、一喝した。